捕鯨問題

日本の調査捕鯨は違法か

義務的管轄権受諾宣言とNEWREP-A最終案
真田康弘(早稲田大学)

 2015年10月、日本は国連事務総長に対し、海洋関係の問題については国際司法裁判所(International Court of Justice: ICJ)の義務的管轄権から除外するとの宣言を行うとともに、同年12月に「新南極海鯨類科学調査(New Scientific Whale Research Program in the Antarctic Ocean : NEWREP-A)」と題する南極海での科学調査名目での捕鯨に対する捕獲許可証を正式に発給した。とりわけ日本の「調査」捕鯨再開は「日本は国際司法裁判所の判決を事実上破った」と諸外国において驚きをもって報じられた。
 そこで本稿では、まず日本の義務的管轄権受諾宣言の変更とのその意義について明らかにした後、NEWPREP-A最終調査計画書を分析し、その問題点すなわち調査目的に照らし計画が合理性を有さないため国際法上違法ではないのかとの点について検討を試みたい。

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【共同声明】 国際ルールを無視した新南極海鯨類科学調査計画(NEWREP-A)の中止を

〜調査捕鯨船団出港抗議〜

声明の趣旨

 日本政府は、2014年3月の国際司法裁判所による第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)の停止判決を受け、国際的な裁定に従うと発表しました。それにも関わらず、2015年10月6日、国際司法裁判所(ICJ)を通じた他国からの新たな提訴を回避するため、ICJにおける強制管轄受諾宣言の内容修正を国連に送付し、新計画のもとでの南極海調査捕鯨を強行しようとしています。
 私たちは日本政府が国際ルールを遵守し、新たな調査捕鯨を行なわないよう強く求めます。

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【共同声明】 希少種なアイスランド産ナガスクジラの鯨肉輸入を憂慮する

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

大阪港使用状況によると、今月30日にアイスランドからナガスクジラの肉1815トンを積んだ船(WINTER BAY)が大阪港に到着します。昨年、アイスランドで捕獲された137頭すべてです。ナガスクジラは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストの絶滅危惧種に分類され、ワシントン条約では付属書Iに掲載をされているため商業取引を禁止されていますが、アイスランド国内では食習慣がなく、もっぱら日本向けに捕獲しており、アイスランドも日本も、「留保」という手段によって取引しています。

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【NGO共同声明】 「国際司法裁判所(ICJ)強制管轄権受諾宣言の修正と調査捕鯨新計画実施の撤回を」

2015年11月13日

 日本政府が、2015年10月6日付けで、国際司法裁判所(ICJ)における強制管轄受諾宣言の内容修正を国連に送付した事が明らかになりました。それによると、日本は海洋生物資源の調査、保全、管理、ないし開発に関わるいかなる紛争に関連する提訴を受け付けないとしています。日本政府が今年から計画している調査捕鯨新計画(NEWREP-A)について、国際司法裁判所を通じた他国からの新たな提訴を不可能にさせるための手段です。
 私たちはこのICJ強制管轄権受託宣言文の修正を一刻も早く撤回し、新たな調査捕鯨を行なわないよう強く求めます。

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日本の新調査捕鯨計画(NEWREP-A)とIWC科学委員会報告

真田康弘(早稲田大学地域・地域間研究機構/法政大学大原社会問題研究所)

 2014年2月、国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会の下に設けられた専門家パネルは、日本の南極海での新調査計画「New Scientific Whale Research Program in the Antarctic Ocean: NEWREP-A」について「捕獲が必要と立証できていない」と明確に否定するという極めて画期的な判断を下した。2015年5月から6月にかけて米国サンディエゴ開催されたIWC科学委員会は、日本の新調査捕鯨計画や現行の北太平洋での調査捕鯨に対する検討が最大の目玉となったが、多くの部分において科学委メンバーの間でのコンセンサスが得られず、両論併記とされる記述が目立った。専門家パネルでは調査計画を提案した日本側がメンバーからは外れていた一方、科学委員会自体では日本政府から派遣されている代表がメンバーに含まれており、日本側が頑強に抵抗すれば両論併記にならざるを得ないという科学委員会の従来の機能不全がまたもや繰り返された側面があることは否めない。しかしながら、同科学委員会では致死的調査が必要かどうかが説明が不十分であることを日本側が認めざるを得ない状況に追い込まれたという重要な成果も得られている。
 そこで本小論では最初に専門家パネルの結果を簡単に振り返ったのち、科学委での議論及びその結果を紹介し、その意義を検討するものとしたい。

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