【共同声明】 国際ルールを無視した新南極海鯨類科学調査計画(NEWREP-A)の中止を
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- 作成日 2015年11月28日(土曜)22:48
〜調査捕鯨船団出港抗議〜
声明の趣旨
日本政府は、2014年3月の国際司法裁判所による第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)の停止判決を受け、国際的な裁定に従うと発表しました。それにも関わらず、2015年10月6日、国際司法裁判所(ICJ)を通じた他国からの新たな提訴を回避するため、ICJにおける強制管轄受諾宣言の内容修正を国連に送付し、新計画のもとでの南極海調査捕鯨を強行しようとしています。
私たちは日本政府が国際ルールを遵守し、新たな調査捕鯨を行なわないよう強く求めます。
声明の背景と理由
<ICJ強制管轄権受諾宣言文修正の目的>
日本の調査捕鯨(JARPA II)は、2014年3月、国際司法裁判所が下した判決により、科学調査として認められず、実施が出来なくなりました。それに対して、日本政府はNEWREP-Aを計画し、強行しようとしています。この新計画は、今年2015年1月に国際捕鯨委員会(IWC)の専門家会議で、致死的調査の必要性を認められませんでした。また、5月に行なわれたIWC科学委員会においても、所属する44人の科学者が専門家会合と同様の主旨の報告を支持しました。従って、日本政府はNEWREP-Aも国際法に違反している可能性があることを認識し、国際司法裁判所での提訴を事前に避けようとして、今回の受託宣言の修正を行ったと言えます。NEWREP-Aでは、以前より拡大した調査海域において、年間333頭、12年間トータルで約4000頭のミンククジラを捕獲する予定です。
これに対し、国際社会は強く反発しており、例えばこの11月も、オーストラリア連邦裁判所は、共同船舶に対して、南極のクジラサンクチュアリ内での捕殺に関し、100万豪ドル(8750万円)の罰金を科しました。
<南極での商業捕鯨を行なう企業はない>
日本政府は調査捕鯨の目的を、商業捕鯨の再開としています。しかし、すでにかつての捕鯨産業は、採算の取れる見込みもない南極で捕鯨を再開するつもりはありません。実際、日本で需要があるとされる鯨肉の量は限られており、政府の補助金をつぎ込まなければ成り立たない状態に陥っています。
<増える補助金、減る捕獲量>
調査捕鯨開始当初に5億円だった補助金は、年を追うごとに増え続け、今回は31億円になっています。これだけではなく、漁業を活性化するためという口実のいわゆる「もうかる漁業」という水産庁の補助金を使って、前回は補助金とは別に45億円もの税金がつぎ込まれました。この多額の金額は、鯨肉需要が減少したため、実施機関である日本鯨類研究所が赤字となり、その救済のために行なわれたものと言えます。遠く南極の公海にまで出かけて行なう操業は産業としても成り立たない事は明らかです。
<海洋の危機的状況>
国連など、様々な国際機関で現在一番大きな問題となっているのは海洋の危機的な状況です。地球の70%を占め、水循環のみならず気候の緩和、食糧資源の供給とさまざまな恩恵により私たちの生存になくてはならない存在である海洋が、酸性化や海洋の汚染、違法漁業を含む乱獲などで大きく変化しようとしています。このことに危機感を持ち、海洋をどのようにして健康な状態に戻していくかが多くの国々の関心となり、国際的な課題になっています。
四方を海で囲まれ、水産資源に多くを頼ってきた私たち日本人にとって、海が健康である事は、どこより、誰よりも必要なことのはずです。
しかし、日本はこれまで多くの水産資源の減少に責任があるにもかかわらず、問題解決への努力を怠ってきました。今回のような国際的な法秩序を無視する宣言は、私たち日本人であり、また地球市民にとって、到底認めることのできないものです。
日本政府は、南極における調査捕鯨停止し、海洋保全に向けた新たな取組を進めるべきです。
署名:
あしたへの選択Choices for Tomorrow (CFT)
認定NPO法人 アニマルライツセンター
イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
化学物質問題市民研究会
国際環境NGO グリーンピースジャパン
認定NPO法人 原子力資料情報室
認定NPO法人 地球生物会議(ALIVE)
認定NPO法人 トラ・ゾウ保護基金
国際環境NGO FoE Japan
国連生物多様性の10年市民ネットワーク
生命の輪
日本環境法律家連盟(JELF)
PEACE いのちの搾取でなく尊厳を
ヘルプアニマルズ
Voice for Zoo Animals
認定NPO法人 ラムサール・ネットワーク日本