【共同声明】 希少種なアイスランド産ナガスクジラの鯨肉輸入を憂慮する
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- 作成日 2015年8月28日(金曜)15:31
イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
大阪港使用状況によると、今月30日にアイスランドからナガスクジラの肉1815トンを積んだ船(WINTER BAY)が大阪港に到着します。昨年、アイスランドで捕獲された137頭すべてです。ナガスクジラは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストの絶滅危惧種に分類され、ワシントン条約では付属書Iに掲載をされているため商業取引を禁止されていますが、アイスランド国内では食習慣がなく、もっぱら日本向けに捕獲しており、アイスランドも日本も、「留保」という手段によって取引しています。
また、これまで、肉はアイスランドからアフリカ大陸経由で輸入されましたが、ワシントン条約加盟国のいくつかが肉を積んだ船の寄港を許可しなかったため、今回初めて北極海経由で日本に届く事になります。また、今後も輸入を継続するのであれば、同じ航路を取る可能性があります。気候変動の影響で船の航行が可能となった北極海ですが、航路はまだ開発途上であり、万が一の場合、船員の命を危険にさらすばかりか、脆弱な北極海の生態系への影響が懸念されます。
一方、「南極調査捕鯨の見送り」という表向きの理由で(実際はそれ以前から捕獲数を大幅に減らしてきた)在庫がほぼ半減しました(注1)。すると今度は「鯨肉が不足する可能性があるため、企業=共同船舶が流通への影響が出ないように輸入する事にした」とNHKが報道しました(注2)。今回の輸入で、供給量の半分は輸入肉になり、調査捕鯨が鯨肉取引を大きな目的としている事も明らかになりました。
以上の事から、私たちはナガスクジラ肉の輸入に強く反対し、以下を要望します。
- ワシントン条約におけるナガスクジラに関する留保を撤回し、希少なクジラの取引を行わない
- 北極海経由での運搬により、乗組員の生命を危険にさらし、北極海の脆弱な生態系への影響が懸念される航行を行わない
- 輸入鯨肉流通は伝統文化ではない。「伝統」を強調したキャンペーンを中止すべき
- 鯨肉取引が主目的の調査捕鯨を中止すること
注1) 参考資料「鯨肉の供給と市場流通在庫」
注2) NHK「調査捕鯨見送りで鯨肉不足 企業が大量輸入へ」(2013年5月23日)