捕鯨問題

クジラの陰謀

真田康弘(早稲田大学) 

 捕鯨問題が国際社会で環境問題の一つとしてクローズアップされるようになったのは、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議(ストックホルム会議)」で商業捕鯨10年モラトリアム(一時停止)提案が採択されたことに端を発しているが、今でも日本の捕鯨業界関係者の一部で 「米国がモラトリアム提案を主導したのは、この会議でベトナム戦争を取り上げさせないようにするためだった」という「クジラ陰謀論」が根強く信じられている。今年(2016年)から一般に封切られた映画『ビハインド・ザ・コーヴ』でもこの「陰謀論」が結論として言及されている。
 筆者は以前にもこの問題について書いたことがあるが、ここで今一度この「陰謀論」の妥当性について検討してみよう。

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私たちは以下の理由をもって、調査捕鯨実施に反対しています

  1. ICJの判決で科学目的と認められなかった調査捕鯨JARPAIIと根本的には変わっていない。又、IWC65で本会議での議論が必要だと決議されたことを守っていない。
  2. 日本国内で鯨肉の需要が減少したため、経済的に引き合わない公海における大規模の商業捕鯨を再開しようとする企業はない。
  3.  多大な税金が投入されており、ますますその金額が巨額化して、調査捕鯨は‘国営産業’となっている。食べないものも肉の代金を支払わされている。
  4. 調査捕鯨が国際合意の障壁となり、沿岸小型沿岸捕鯨の再開を阻止している。
  5. 南極における海洋調査は、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)で実施すべき。
  6.  調査捕鯨に当てている金額は、沿岸調査や沿岸漁業の再生のためにあてるべき。
【水産庁プレスリリース】
 平成27年度新南極海鯨類科学調査の航海終了について

 

【共同声明】 国際ルールを無視した新南極海鯨類科学調査計画(NEWREP-A)の中止を

〜調査捕鯨船団出港抗議〜

声明の趣旨

 日本政府は、2014年3月の国際司法裁判所による第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)の停止判決を受け、国際的な裁定に従うと発表しました。それにも関わらず、2015年10月6日、国際司法裁判所(ICJ)を通じた他国からの新たな提訴を回避するため、ICJにおける強制管轄受諾宣言の内容修正を国連に送付し、新計画のもとでの南極海調査捕鯨を強行しようとしています。
 私たちは日本政府が国際ルールを遵守し、新たな調査捕鯨を行なわないよう強く求めます。

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日本の調査捕鯨は違法か

義務的管轄権受諾宣言とNEWREP-A最終案
真田康弘(早稲田大学)

 2015年10月、日本は国連事務総長に対し、海洋関係の問題については国際司法裁判所(International Court of Justice: ICJ)の義務的管轄権から除外するとの宣言を行うとともに、同年12月に「新南極海鯨類科学調査(New Scientific Whale Research Program in the Antarctic Ocean : NEWREP-A)」と題する南極海での科学調査名目での捕鯨に対する捕獲許可証を正式に発給した。とりわけ日本の「調査」捕鯨再開は「日本は国際司法裁判所の判決を事実上破った」と諸外国において驚きをもって報じられた。
 そこで本稿では、まず日本の義務的管轄権受諾宣言の変更とのその意義について明らかにした後、NEWPREP-A最終調査計画書を分析し、その問題点すなわち調査目的に照らし計画が合理性を有さないため国際法上違法ではないのかとの点について検討を試みたい。

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【NGO共同声明】 「国際司法裁判所(ICJ)強制管轄権受諾宣言の修正と調査捕鯨新計画実施の撤回を」

2015年11月13日

 日本政府が、2015年10月6日付けで、国際司法裁判所(ICJ)における強制管轄受諾宣言の内容修正を国連に送付した事が明らかになりました。それによると、日本は海洋生物資源の調査、保全、管理、ないし開発に関わるいかなる紛争に関連する提訴を受け付けないとしています。日本政府が今年から計画している調査捕鯨新計画(NEWREP-A)について、国際司法裁判所を通じた他国からの新たな提訴を不可能にさせるための手段です。
 私たちはこのICJ強制管轄権受託宣言文の修正を一刻も早く撤回し、新たな調査捕鯨を行なわないよう強く求めます。

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