IKAN流クジラ図鑑

ハンドウイルカ (バンドウイルカ)(bottlenose dolphin) Tursiops truncates

bottlenosedd

体長:1.9~4m 体重:150~650kg
評価:IUCN-DD/水産庁--普通/日本哺乳類学会--保護すべき地域個体群(日本 沿岸個体群)

イルカの仲間でもっともよく知られて、親しまれているイルカ。冷温帯から熱帯域の沿岸と沖合いに分布。海域ごとにからだの大きさや体色に変化がある。おおまかには、比較的小柄で吻が長く、体の一部に斑点がある南方型と、からだが大きく吻は短く、斑点のない北方型があり、日本の沿岸でも両方の方が認められている。370日の妊娠期間の後に1子を設け、同じような子を持つ育児集団を作り、子どもは1~2歳の頃まで母乳を飲む。メスは比較的長期間母親とともに暮らすが、オスは10歳を過ぎて大人になりかける頃に、若いオスだけの集団を作り、後におとなのオスの群れに加わるといわれる。

生態研究もさかんで、最近の研究では、イルカがそれぞれ個体ごとの呼び名をもっているらしいことや、人間や大型類人猿に見られるような鏡を認知する能力を持っていることが報告されている(米国の科学雑誌「the National Academy of Science」による)。また、人なつこく、溺れた人間を助けたり、サメから守ったといった逸話もつきない。

残念ながら、世界各地でさまざまな人間の活動がこの種の生存をおびやかしている。漁網による混獲や水族館や食用のための捕獲、有害駆除、汚染物質の蓄積などである。

日本では、他のイルカ種の減少とクジラ肉代替品としての価格高騰から、1980年代からその捕獲数が増大した。捕獲方法として用いられている追い込み猟は水族館にこのイルカを廉価で供給し、海外への輸出も行われている。過度の捕獲が沿岸の地域個体群を消滅させ続けている可能性は否めない。

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