パラオでイルカセラピーとタッチング?
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- 作成日 2000年9月26日(火曜)13:39
モリタ・コーポレーションのドルフィン・プロジェクトに反対します
みなさんの中には、美しい南の島、パラオ(ベラウ)共和国のことをご存じの方も多いことでしょう。エメラルドグリーンの海で泳ぎ、イルカや魚など野生の動物たちと触れ合って、忘れられない思いでをおもちの方もおいでかもしれません。
この美しい島パラオで、現在、日本からイルカを連れていって、タッチングなどの観光事業を行うというイルカ・プロジェクトが進行中です。
それによると今年6月から施設の建設を初め、11月には完成させる予定でいます。そして、日本(和歌山・太地)で飼育係に採用された人が実際に飼育するイルカを使って飼育技術を学び、来年(2001年)1月にはイルカを導入する予定のようです。
このプロジェクトの出発は、ゴルフ場開発などから島を守り、この美しい島の繁栄を願う善意のものと唱われています。けれども、地元にもイルカが回遊しているのに、わざわざ日本からイルカを導入することは、遺伝子の交雑という点や、ウィルスなどの感染ということで大変に問題があります。
それに第一、イルカとの巡り合いやその結果としてのヒーリングを、果して家族とも、故郷とも遠く離れたイルカにもとめることが正しいことでしょうか?
この計画は日本の観光客をターゲットとしており、日本航空が直行便を運行させる予定です。つまり、この計画の鍵も日本人観光客が握っているのです。私たちがはっきりと反対の意思表示をしていくことによって、こうした安易でむごい計画を止めることができます。ぜひ、みなさんも反対の声をあげてくださいね。
パラオイルカプロジェクトの問題点
- ワシントン条約では輸出国の許可がいるイルカの輸出入の、日本における当該行政は水産庁で、野生動物保護の観点からは専門機関ではない。
- パラオ周辺には、さまざまなイルカ種が生息しているが、外国にあたる日本からの導入と放流は、遺伝子の交雑を招く恐れがある。たとえ同種のイルカがパラオ周辺に生息していたとしても、これまでに交流があったとは考えられない。
- 飼育下のイルカの導入によって、さまざまなウィルスの感染の可能性が考えられる。遺伝子の交雑を招く。
※97年に和歌山県太地で捕獲された5頭のシャチのうちの2頭が4ヵ月後に死亡しているが、そのうちの1頭の死因は、ヘルペスウィルスと考えられている。これは、通常、野生のクジラ類にはみられないが、一方で、日本人の潜在的なものも含めた感染率は非常に高い。
●イルカセラピーの問題点
- イルカによる治療効果はいまだに確立されたものではない。
- 野生のイルカとの自然な遭遇と関係によって生まれる可能性があるものだが、土台となるのは自然にたいする畏敬であって、イルカの捕獲や飼育という人間の強制下でおこなうべきものではない。
- 飼育されたイルカは、本来的な生活と切り離されたストレスから、異常行動をとることもあり、イルカによる人身事故も多数報告されている。
- 飼育されたイルカによるセラピーは、観光事業としては成り立つかもしれないが、本来的なイルカをふくめた異種との交流や自然にたいする共鳴にはなりえない。
●動物虐待の可能性
- 飼育下のイルカは短命であり、寿命は野生下の3分の1ぐらいといわれている。とくに、タッチングなどのストレスにさらされるイルカの寿命は短い。
- イルカトレーナー志願の人たちの中には、イルカの訓練途上で、その扱いの酷さにやめていく人も多い。そうした人たちからの話では、イルカの頭を叩くとか、ひどいものでは蹴るということもあった。飼育されているイルカたちは、こうした訓練と飢えから芸を覚えることになる。たとえそれが外洋からの「呼び戻し」といわれるものであろうとも、訓練は必要であり、同様の状況が予想される。
- 飼育下のイルカは、追い込み猟によって家族を殺されている。通常、湾に追い込まれたイルカたちのうち、若く傷の少ないものが水族館関係者によって選別され、残りは食肉用に殺される。イルカの追い込み猟そのものも、個体群を消滅させる可能性の高い問題のあるものであるが、追い込み猟によって供給のたやすい短期間の消耗品としてイルカを扱う水族館や飼育業者も産業を支えているという点で同罪であろう。
●その他
地元の産業、特に漁業との関係・イルカの外洋飼育による漁業被害などがその海域の魚の生息に影響をおよぼす可能性がある。日本国内でも内海を仕切ってイルカを飼育しようという計画が漁業者の反対でつぶれた例がある。