共同声明 「日本政府の新北西太平洋鯨類捕獲調査計画(NEWREP-NP)の撤回を!」
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- 作成日 2016年12月05日(月曜)11:27
2016年12月2日
共同声明
「日本政府の新北西太平洋鯨類捕獲調査計画(NEWREP-NP)の撤回を!」
日本国総理大臣 安倍晋三 殿
農林水産大臣 山本有二 殿
水産庁長官 佐藤一雄 殿
日本政府がこの11月8日、国際捕鯨委員会科学委員会(IWC SC)に提出した新鯨類捕獲計画(NEWREP-NP)は、国際捕鯨委員会(IWC)の決議を無視し、またオホーツクの希少個体群の捕獲許可は、政府の主張する「持続的な利用」に疑問を抱かせるものです。早急な撤回を求めます。
- NEWREP-NPで計画された沿岸におけるミンククジラ100頭、オホーツク海域での希少な日本海個体群(J-stock)47頭、日新丸船団によるミンククジラ27頭の捕獲を撤回すること。
- NEWREP-NPで計画された日新丸船団によるイワシクジラ140頭の捕獲を撤回すること。
<理由>
- 日本政府は、2014年IWC第65回会議において、商業捕鯨での持続的な利用を示す改定管理方式(RMP)の元で算出されたとする日本の北西太平洋側のミンククジラ17頭の捕獲を要求し、否決されました。この頭数は、議論されている幾つかの選択肢の中でも最大の捕獲数であることも討議の過程で明らかになりました。今回、総計で174頭のミンククジラ捕獲を計画したということは、日本政府が認める管理方法を愚弄するものです。
- さらには、日本政府がこれまで希少個体群の存在を理由に許可してこなかった、オホーツク海域でのミンククジラ47頭の捕獲の根拠として、計画書に「J-stockが太平洋側にも生息域を広げているため生息数を回復させている可能性がある」と説明しているのは、可能性の一つに過ぎないものであり、捕獲を許可する根拠にはなりません。
- また、この個体群は、日本と韓国において沿岸域に設置された定置網により多くの混獲が毎年報告されており、国際的にも懸念されています。
- さらに、捕獲予定海域付近は知床世界遺産に認定されており、近年、ホエールウォッチングが盛んに行われていますが、こうした観光資源としてのクジラへの影響も懸念されるところです。
- 計画書では、気候変動の影響も言及されています。この間の太平洋側の沿岸捕獲調査においては、捕獲上限101頭に対し、捕獲実数は春季16頭、秋季21頭に過ぎませんが、100頭(+27頭)の捕獲がこの原因を明らかにするとは思えません。
- イワシクジラは、国際自然保護連合(IUCN)で絶滅危惧種に指定され、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)で国際取引が禁止されている種です。日本はミンククジラやナガスクジラを留保という規制を免れる措置を取っていますが、北太平洋のイワシクジラ個体群に関しては留保対象とはしていません。捕獲が開始された2002年から、「海からの持ち込み(IFS)」という名目で、日本政府が捕獲を許可し、水産庁が持ち込みを許可するという第三者機関の介入を排除して行われてきたものです。これはワシントン条約の諸規定に違反する行為であると指摘する国際法学者もいます。
- 今回の新計画は、2014年、国際司法裁判所が第二次南極鯨類捕獲調査(JARPAII)に下した判断に配慮しているとは考えられず、また2018年に予定されている次回IWC67での議論を待たずに実施を予定されており、2014年IWC65と2016年IWC66に採択された調査捕鯨についての決議を無視するものです。
日本政府は、今回、「対話の素地ができた」、「対話部会を設置した」とIWCでの合意形成に貢献しているかのように国内関係者に報告しています。しかしこの計画を出すことは、新たな対話の可能性を潰すものとしか見えません。即刻撤回されることを望みます。
<署名団体>
特定非営利活動法人 地球生物会議(ALIVE)A Life in Viable Environment(ALIVE)
あしたへの選択 Choices For Tomorrow(CFT)
NPO 法人 アニマルライツセンター Animal Rights Center
生命の輪 Circle Of Life
イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク Iruka & Kujira (Dolphin & Whale) Action Network
化学物質問題市民研究会 Citizens Against Chemicals Pollution
日本環境法律家連盟 Japan Environmental Layers Federation
国際環境NGO グリーンピース・ジャパンGreenpeace Japan
自然通信 Shizen-Tuushin(Nature Information News)
認定 NPO 法人 トラ・ゾウ保護基金 Japan Tiger and Elephant Fund
バイオダイバーシティ・インフォーメーション・ボックス Biodiversity Information Box
北限のジュゴンを見守る会 Association to protect Northernmost Dugong
いのちの搾取ではなく尊厳をPut an End to Animal Cruelty and Exploitation(PEACE)
認定NPO法人 野生生物保全論研究会(JWCS) Japan Wildlife Conservation Society
Voice for Zoo Animals Japan