南極海第二次クジラ捕獲調査に抗議書提出

2005年6月、韓国のウルサンで行われた第56回IWC国際捕鯨委員会で、日本政府は第II期南極クジラ捕獲調査として捕獲するクジラの数を倍増させました。これまで捕鯨再開だけでなく調査捕鯨に反対してきた国、そして疑問を抱いている国が懸念を表明し、計画の自粛と非致死的調査への切り替え要請が決議されました。しかし、決議は何の拘束力も持たないまま、この11月8日、調査捕鯨船団は下関港を出港しました。

私たちは日本人として、この政府と業界のあり方に納得が行かず、反対を表明するために賛同署名を募り、捕鯨船団が出港した11月8日当日、21団体、110人の署名を添えて意見書を水産庁等に送りました。


2005年11月8日(火)

内閣総理大臣  小泉純一郎 殿
農林水産大臣  中川 昭一 殿
水産庁長官   小林 芳雄 殿
日本鯨類研究所 畑中 寛  殿
イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
事務局長 倉澤七生
[自然の権利]セミナー
 代表 佐久間淳子

南極第二期クジラ捕獲調査(JARPA II)に反対し、捕獲船団の出航に抗議する

 私たちは、日本鯨類研究所が計画し、日本政府が許可した南極海第二期クジラ捕獲調査に強く反対します。

日本鯨類研究所は、18年間も南極海でクジラを捕獲し続けましたが、その科学性については世界の著名な科学者たちから繰り返し疑問が投げかけられており(2003年「ニューヨークタイムズ意見広告」、2005年「ネイチヤー」記事など)、国際捕鯨委員会の科学委員会における評価も分かれ、来年にその評価の議論が行われる予定と聞いています。それを前に新たな計画を遂行することは納得がいきません。さらに、特定産業への18年間の継続的な税金投入が行われ、その結果、国際的に日本への批判が強まっているということ、また、国際捕鯨委員会では毎年のように調査捕鯨再考の決議が採択されてきましが、こうした経緯が十分に国内に伝えられないまま進行していることは遺憾なことです。

今回の計画では、これまで捕獲されてきたミンククジラの捕獲数を倍増し、さらに現在でも絶滅を危惧されているナガスクジラ、ザトウクジラも捕獲する予定です。調査捕鯨でのクジラの捕獲数は年々増え続けていますが、これに対しての歯止めはなく、やりたい放題の状態が続いていることには国際的な責任を感じ、やりきれない思いがしています。

調査捕鯨計画に対しては、毎年税金が投入されてきましたが、計画についての説明は不十分、透明性に欠け、市民がことの是非について意見をいうことのできる機会はありません。さらには、税金を使って、捕鯨に有利な一部の情報だけが継続的に流され続け、一般市民を誤誘導し、クジラが増えて魚類資源を脅かすというような短絡した見方を植えつけ、日本人が生態系について間違った認識を有しているような印象を生じさせていることも一般市民にとっても不利益につながっています。

政府関係者が捕鯨を推進したい一部の人たちの利益ばかりを優先せず、民主的な手続きを重んじ、目先の利益でなく、将来にわたっての私たち日本の利益を考えて、今回の計画を再考してくだるよう、心からお願いします。

以上

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