自然公園のあり方検討小委員会 へパブリックコメント提出

「中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会『自然公園法の施行状況等 を踏まえた今後講ずべき必要な措置について(報告書案)』に係る意見(パブリ ックコメント)の募集」が行われており、2009年1月19日が締め切りでした。締め切り当日でしたが、IKANからも下記の意見を提出しました。


件名:「自然公園法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について(報告書案)に関する意見」

[意見]

「全体にかかる意見として」

自然公園法に「海域の保全」が書き込まれたことを歓迎します。
海域保全が言葉だけではなく、実効性のある施策となるため、審議会でも意見が出ていたように、そろそろこの法律の目的に「生物多様性保全」を明記すべきではないか、と思います。「景観」だけでは、深海、沖合いなどは対象外とされかねません。
また、これまで環境省が情報を持ってこなかった海域についても、水産庁のような有用魚種のみではない生物 多様性全体の調査が必要です。そのための予算や人材の確保を行い、独自の調査を行い、海域保全のグランドデザインを作成するなど、せっかく書き込まれた課 題が少しでも前進するようにがんばっていただきたいと思います。
とりわけ、海洋基本法以降進行している海域の開発計画とそのための調査を考えると、何も情報がないままに生物多様性が失われていく懸念を強く感じます。


意見1

1.「該当箇所」 2 国立・国定公園をめぐる現状と課題2段落目14行目(P1)
2.「意見の要約」 浅海域だけではなく、情報の少ない深海や沖合いの保全について記述していただきたい
3.「意見」 14行目の末尾に「また、深海や沖合域などに関しては早急に調査を実施し、保全の充実を図る必要がある。」を加える。
「理由」
審議会での牧野委員のPPTにもあるように、海洋というのは解放系です。沿岸の狭い海域のみの保全では限界があります。P5の記述のように「海域の保全を 進めるには海だけの環境保全では不十分」として陸域も含めるとしているのですから、海域全体を視野に入れなければ整合性を欠きます。


意見2

1.「該当箇所」 (1)(海域の保全)(P2)8行目
2.「意見の要約」 意見1と同じ
3.「意見」 8行目のあとに
「また、沖合いや深海というこれまで環境省の管轄外の海域については、漁業対象種以外は十分な調査もなされていない状態であ理想急な調査が必要。」を挿入
「理由」
意見1と同じ


意見3

1.「該当箇所」 (生態系ネットワークの構築)P3 10行目
2.「意見の要約」 海域においても保護区のネットワーク構築を進める
3.「意見」 文末に「海洋においても、保護区のネットワークの構築が生物多様性保全に資すると考えられる」を挿入
「理由」
海生生物の生活に伴う移動を考えると、ネットワークをつなげて保全する海域を広げることは生物多様性の保全に効果的です。特に大型の哺乳類の移動や繁殖などに広域的な保護区を設定することが他の生物にも資すると考えます。海生動物の混獲への対処も考えられます。

*Erich Hoyt' Marine Protedted Area for Whales, Dolphins and Porpoises' (EARTHSCAN)など


意見4

1.「該当箇所」 (適正な海域利用の推進)(P8-9)
2.「意見の要約」 一般利用者による影響だけでなく、海洋開発も考慮すべき
3.「意見」 (末尾に)
沿岸、海洋におけるさまざまな新たな開発が計画されている。保護海域の設定に当たっては、生物多様性保全の観点から利用調整を考えるべきである。
「理由」
一般利用者による影響だけでなく、海域の開発についても今後は考えに入れる必要があるのではないでしょうか?
特に、個別事業者のみならず、政府としてエネルギーや鉱物資源開発を推進する場合、採算を度外視した調査や採取のための取組が継続される可能性があり、それによって、海洋生態系が大きな影響を受けるのではないでしょうか。

*資料:読売新聞1月6日版「海底資源 本格開発へ」
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