イルカショーに関し品川プリンスホテル へ質問状送付

「癒しの空間?」

「ここ数年、殺伐とした世相に比例してか『癒し』への希求が強まっているようです。癒しを求めることに異議を唱えるわけではありませんが、自分が癒されるために他の犠牲を強いることを厭わないようなあり方については問題を感じます。

特に、最近流行のイルカセラピーについては強く反対せざるを得ません。イルカを毎年追い込み猟で捕獲し、安価に供給しうる日本においては、身勝手な『癒し』のため、イルカの命がいとも無造作に失われている可能性が強いのです。イルカは一部の人の癒しとそれをそれを的にした金儲けのために存在しているわけではありません。

この4月、品川の駅前のホテルに『癒しの空間』を歌い、イルカショーをメインとしたアクアスタジウムがオープンする予定です。私たちはこの計画やこうした一連の間違ったあり方を懸念し、以下のような質問状を送りました。

みなさんもこの機会にぜひこの問題について考えてください。」


 2005年2月18日(金)

プリンスホテル代表取締役社長 山口弘毅 殿
品川プリンスホテル総支配人   渡辺幸弘 殿

「アクアスタジアムにおけるイルカショーに関する質問書」

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
事務局長 倉澤七生
埼玉県入間郵便局私書箱10号〒358-8691
 
私ども、イルカ&クジラ・アクション・ネットワークは、イルカ・クジラをはじめとする野生動物と人との共存をめざし、活動する非営利のNGOです。自然環境の大切さが認識され、その重要な構成要素である野生動物の生態が明らかにあるに従って、野生動物の人工的な施設における飼育についての問題点が明らかになってきました。中でも高度の社会性を持ち、広い海洋を移動するイルカなどの人工的な施設での飼育には多くの問題があり、世界的にも大きな批判が生まれ、飼育を取りやめた国さえあります。こうした状況における貴ホテルの新たな「アクアスタジアム」計画について、私どもは大きな懸念を抱き、動物の福祉に関する以下の点につき質問いたします。
  1. 飼育・展示されるイルカの種名および頭数
  2. 野生からの捕獲か、人工繁殖か野生の場合、捕獲海域はどこか
  3. ホールディングプールの容積
  4. 水槽に使われる水はどのようなものか
  5. 水質のチェックと水の交換の頻度
  6. 使用される循環システムについて
  7. 水に使用する薬剤
  8. 餌の種類・量・与え方
  9. ショーの内容について:1日 回
    1回の所要時間
    どのような内容か
  10. 専属獣医師が常駐しているか
  11. 計画立案にあたって環境省の作成した動物の飼育マニュアルに従ったか
かつて、80~90年代初め、貴グループは、国土建設を先頭に、日本全国で貴重な自然を破壊してきた歴史をお持ちです。現在貴グループが新たな再生の努力をなさっていることは理解しているつもりですが、その上に立ち、イルカショーをはじめとするたくさんの野生生物を営利目的で利用する方針についてもぜひ再考され、21世紀にふさわしい企業活動にまい進してくださるよう願っています。
 
この質問状の回答は恐縮ながら2月中にいただければ幸いです。
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