1997年に捕獲された5頭のシャチ最後の1頭の死に際して

予想できたこととはいえ、この9月19日、メスの シャチ 「クー」が死んでしまったのはたいへん残念なことでした。推定18-19歳というシャチの平均寿命(60歳)から見て、「夭逝」としかいえないような死でした。

「経緯」

1997年の2月、10頭のシャチの群れ(家族)が和歌山県太地の畠尻湾に追い込まれ、水産庁の許可により、そのうちの 5頭が捕獲される事件が起きました。

1990年にアイスランドがシャチ生け捕りを停止したのち、世界で野生シャチの生け捕りは止んでおり、太地の捕獲は世界中に衝撃をもたらしました。

当時の水産庁担当者や水族館関係者は、止まらない抗議ファックスに、ほとほと困り果てたと述懐しています。世界の流れが野生シャチ捕獲に反対であることがはっきりと現れた事件でもあったのです。

それから11年あまり。当時、幼い子どもであったクーが、捕獲されたシャチたちのいのちの最後のページを閉じました。

 

「シャチについて」

シャチは、海における最高位の捕食者として、もともと数は多くありません。それに加え、日本の周辺海域では、1950-70年代に、油を採るために1000頭以上のシャチが捕獲されたため、昨年のIWCでは、地域個体群の中には絶滅したものがあるかもしれないと懸念が表明され、生息調査の必要性が要望されています。国際的には、シャチには3つの異なる生活タイプがあり、強い社会性と地域性を持つことが明らかになっています。

昨年、1997年の捕獲10周年ということで日本のシャチの現状と繁殖研究を報告するシンポジウムが開かれました。野生シャチの生態については、北緯40度(三陸周辺)以南には定住していないらしいということが言われたものの、いずれのタイプに属するものがいるのか、移動範囲はどこからどこまでなのか、果たして日本固有の群れがいるのかどうかさえもわかっていないことがはっきりしました。

また、捕獲されたシャチからは、こうした現状解明に貢献できる調査・研究はなく、「学術研究」という目的がまったくのいいわけであることもわかりました。

にもかかわらず、今年になって水産庁の「資源評価」では、1992から1996年と同じデータを使いながら、シャチの西部北太平洋の北緯40度以北の推定生息数が1600頭から突然7521頭に激増しています。これが何を意味するのか、私たちは非常に強い懸念を抱いています。

 

「私たちの要望」

以上から、私たちは関係機関に対し、今後に向けてのいくつかの要望を行いたいと考えています。

まず、シャチについての調査を国際的な中立機関と専門家によって行うこと。その結果を市民に公表すること。

これまでの捕獲とそれに伴う研究がどのような成果をもたらしたか、客観的・中立的な評価を早急に行い、結果を公表すること。

動物の福祉の側面から、シャチの人工的な飼育の問題点を洗い出し、検討すること。また結果を公表すること。

これに必要な予算は、和歌山県太地町(太地くじらの博物館といさな組合)と名古屋港水族館をはじめとするシャチを入手したいと考えている水族館が資金提供を行うこと。

以上

予想できたこととはいえ、この9月19日、メスの シャチ 「クー」が死んでしまったのはたいへん残念なことでした。推定18-19歳というシャチの平均寿命(60歳)から見て、「夭逝」としかいえないような死でした。

「経緯」
 1997年の2月、10頭のシャチの群れ(家族)が和歌山県太地の畠尻湾に追い込まれ、水産庁の許可により、そのうちの 5頭が捕獲される事件 が起きました。
 1990年にアイスランドがシャチ生け捕りを停止したのち、世界で野生シャチの生け捕りは止んでおり、太地の捕獲は世界中に衝撃をもたらしました。
 当時の水産庁担当者や水族館関係者は、止まらない抗議ファックスに、ほとほと困り果てたと述懐しています。世界の流れが野生シャチ捕獲に反対であることがはっきりと現れた事件でもあったのです。
 それから11年あまり。当時、幼い子どもであったクーが、捕獲されたシャチたちのいのちの最後のページを閉じました。

シャチ について」
 シャチは、海における最高位の捕食者として、もともと数は多くありません。それに加え、日本の周辺海域では、1950-70年代に、油を採るために 1000頭以上のシャチが捕獲されたため、昨年のIWCでは、地域個体群の中には絶滅したものがあるかもしれないと懸念が表明され、生息調査の必要性が要 望されています。国際的には、シャチには3つの異なる生活タイプがあり、強い社会性と地域性を持つことが明らかになっています。
 昨年、1997年の捕獲10周年ということで日本のシャチの現状と繁殖研究を報告するシンポジウムが開かれました。野生シャチの生態については、北緯 40度(三陸周辺)以南には定住していないらしいということが言われたものの、いずれのタイプに属するものがいるのか、移動範囲はどこからどこまでなの か、果たして日本固有の群れがいるのかどうかさえもわかっていないことがはっきりしました。
 また、捕獲されたシャチからは、こうした現状解明に貢献できる調査・研究はなく、「学術研究」という目的がまったくのいいわけであることもわかりました。
 にもかかわらず、今年になって水産庁の「資源評価」では、1992から1996年と同じデータを使いながら、シャチの西部北太平洋の北緯40度以北の推 定生息数が1600頭から突然7521頭に激増しています。これが何を意味するのか、私たちは非常に強い懸念を抱いています。

「私たちの要望」 
以上から、私たちは関係機関に対し、今後に向けてのいくつかの要望を行いたいと考えています。
  1. まず、シャチについての調査を国際的な中立機関と専門家によって行うこと。その結果を市民に公表すること。
  2. これまでの捕獲とそれに伴う研究がどのような成果をもたらしたか、客観的・中立的な評価を早急に行い、結果を公表すること。
  3. 動物の福祉の側面から、シャチの人工的な飼育の問題点を洗い出し、検討すること。また結果を公表すること。
  4. これに必要な予算は、和歌山県太地町(太地くじらの博物館といさな組合)と名古屋港水族館をはじめとするシャチを入手したいと考えている水族館が資金提供を行うこと。
以上
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