名古屋港水族館へのシャチ等導入計画

1998年2月、愛知県の名古屋港水族館が、シャチをはじめとする小型クジラ類の飼育・展示施設を新規に建設するための予算を獲得した。この水族館は、半ば公の組織である名古屋港管理組合と、自治体である愛知県および名古屋市が共同で経営する水族館である。現在の館長・内田至氏はカメの研究者として名高い人物であるが、就任以来、ずっとシャチの飼育・繁殖に意欲を示し、新たなプールの建設計画を推進してきた。 日本国内では、それまでシャチの繁殖が成功していなかったこともその理由の一つであったが、98年1月には千葉県内の水族館「鴨川シーワールド」でシャチが出産し、現在も母子ともに健在である。しかし、内田館長は、「これまでにどこの水族館もできなかったシャチの素晴らしさを見せる」ことを主張し、水中が見られるようなプールの建設をほのめかしている。計画によれば、2万4,000トンの巨大プールで4~6頭のシャチの"群れ"を飼育し、またバンドウイルカやベルーガなども飼育することになっている。このために使われる総予算は約200億円以上にのぼるが、そのうちの3分の2は税金でまかなわれることになっている。シャチをどこから購入するのかはまだ明らかになっていないが、99年3月、内田館長はノルウェーに6頭のシャチの捕獲を打診。この件がノルウェーのマスコミによってリークされ、世界中の抗議を受け、結局、中止された。

また、噂されているロシア海域での野生シャチの捕獲・輸入という計画も可能性が高く、イルカ&クジラ・アクション・ネットワークは情報の収集に努めている。

名古屋港水族館がどのような方法でシャチを入手するのかは、まだ明らかではないが、いずれにしても、こうした水族館のあり方は、クジラ類の解放を願う世界の潮流に逆行する行為である。膨大な税金を浪費するこうした計画は、何としてでも撤回してもらわなければならない。このためには、国内外の批判の声をさらに大きくしていく必要がある。

 

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