太地の追込み猟始まる!

<35頭が捕獲された>
 9月6日、和歌山県太地でイルカの追い込み猟が開始され、35頭の バンドウイルカが捕獲されました。7日には、集札が予定されているようです。
 これまで、太地では追込み猟は10月1日からの予定でした。このほど 尽きん棒、小型沿岸捕鯨といった他の猟との調整がついたために、 猟期が早まったということです。ちなみに、和歌山県の捕獲枠は年間追込み猟890頭、尽きん棒猟で100頭なので、 バンドウイルカの捕獲枠全体(1100頭)のおよそ8割を占めます。

<水産庁のレポートにも懸念の記述が>
 バンドウイルカは、繰り返される追込み猟により、96年の水産庁のレポートでは「(前略)日本では研究の遅れにより、このような個体群構造は明らかではなく、漁獲の影響を詳しく評価することはできないが、 狭い沿岸域で年間数百頭の漁獲をあげた場合、特定コミュニティの絶滅や漁場周辺を主な生息域とする固体の数が漸減し、地方的な 資源の枯渇が発生する可能性があるので、警戒が必要」と記しています。国民の共有財産である野生生物を一部の産業に利用するとすれば、きちんとした資源評価を優先し、やみくもな捕獲はやめるべきではないでしょうか?

<肉の水銀等の汚染も心配>
 また、1999年から行われた厚生労働省等の調査では、バンドウイルカ 肉における水銀の蓄積が暫定基準値よりもかなり高いため、胎児への影響を懸念して、妊婦等への摂取制限を助言しているほどです。 こうしたリスクの高い動物を食することについて、十分な啓蒙活動も行わずに、捕獲・と殺を行い、肉を販売することにも疑問を覚えます。

<水族館飼育は教育的?>
   一方で、バンドウイルカは、水族館で人気のイルカで、水族館からの要求も多いものです。しかし、この7月にワシントンで行われた鯨類等の生態研究をしている国際的科学者グループから、水族館飼育を目的とするものを含む追込み猟への強い懸念と抗議が表明されました。広い大洋を移動し、群れで社会的な生活を行う動物をせまい人工的な施設に閉じ込めて曲芸をさせることが果たして教育的な行為かどうか真剣に考えたいものです。

 日本は1993年に生物多様性国家戦略を批准し、日本周辺の生物多様性をきちんと守るということを国として宣言しました。こうした観点からも、 十分な調査も終了していないまま、問題の多いイルカ猟を自粛するべきではないかと強く思います。

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