公開質問状に対する水産庁からの回答
- 詳細
- 作成日 2007年2月09日(金曜)14:45
IKANetからの2006年11月15日付公開質問状 に対し、水産庁より回答がありました。
水産庁の回答をPDFファイルで添付します。これは、回答者の希望である「全文を、改編することなく、掲載」するためで、回答書をスキャンして作成しました。
「水産庁からの回答」(176KB)
そのため、多少の解説を別個に掲載しなければならなくなりましたので、読む側としては不便でしょうが上記の事情でお許しください。
水産庁の回答書の「前置き」について:いろいろなところからのいろいろな声があるでしょうが、批判しやすいところを持ち出して反論しても解決つかないことですのでご容赦を!
〔質問1〕
この(クジラ、もしくは鯨類)捕獲調査の目的の生態系管理・多鯨種の管理は捕鯨のためのものですか。もし、南極での捕鯨が行われない場合必要なものですか?
〔質問1への回答に対するIKANのコメント〕
「水産庁は、第一期調査(JARPA)では、その目的である「情報収集、包括的評価」は達成できなかったと判断したのだ」と解釈してよろしいですね。
なぜならば、回答2で第2期調査については、「得られた成果をレビューし、調査の継続当につき検討を行うことになります」と第三期調査の前提が第二期調査 のレビューの完了であるとしているのに対して、第二期調査の計画書提出が、IWCでの第1期の評価作業開始前であり、評価作業着手以前に第2期調査に入っ たからです。
〔質問2〕
鯨類捕獲調査は何年間の予定で行ないますか? その期限をお教えください。
〔質問2への回答に対するIKANのコメント〕
JARPA IIが2年間の予備調査と4年間の本調査、計6年めまでが提示されていることは日本政府がIWCに提出した計画書を読んで理解しています。
私たちのここでの質問は、日本が、異議申し立てを取り下げて商業捕鯨の一時中止を受け入れるのと引き替えに始め、拡大し続けている一連の調査捕鯨をいつま で行うつもりか、ということであり、第2期に限定した質問ではありません。この質問は、昨年のセントキッツでのIWC会議においても他国から「(一連の調 査捕鯨は)永続的なものなのか?」と投げかけられ、日本政府は期限についての明言を避けていました。
これらのことから、私たちは、日本が現在行っている調査捕鯨の主目的は「情報収集」ではなく、したがって「包括的評価」に向けた調査でもなく、調査捕鯨の継続的な実施が第一の目的であろうとみています。
〔質問3〕
鯨類捕獲調査に使われる鯨種、頭数の変更は考えられますか? その理由はなぜですか?
〔質問3への回答に対するIKANのコメント〕
「調査結果のレビューの結果を評価し」とのことなので、レビューを尊重するというよりも、レビュー内容の如何に寄らず、日本は日本の判断で頭数を変更しますよ、と回答を得たと、解釈することにします。
〔質問4〕
商業捕鯨がもし再開された場合、鯨類捕獲調査は終了しますか? 継続しますか?それはなぜですか?
〔質問4への回答に対するIKANのコメント〕
独立した調査が必要であるということは理解しました。
独立していることが重要なのであれば、この調査はぜひ、捕鯨国反捕鯨国の利害関係から独立した機関に委ねるべきですね。それでこそ、真の科学的中立的調査が行えると感じました。
〔質問5〕
昨年度南極海から持ち帰った鯨肉の歩留まりが以前と比べて悪いのはなぜでしょうか? もしクロミンククジラが小型化しているのであれば、科学的調査の結果として公表してください。
〔質問5への回答に対するIKANのコメント〕
クロミンククジラの皮脂厚が減少していることはわかりましたが、回答5に体重の減少=小型化は明記されていないので、皮脂厚の減少ほどに小型化傾向が表れてはいないのであろうと理解しました。
私たちは、水産庁および日本鯨類研究所のプレスリリース、報道から、各年の調査副産物重量と捕獲頭数を知り、一頭あたりの「収量」を求めました。その結 果、第一期調査では、一頭あたりの収量に漸減傾向は現れていません。これは、回答5を裏付けるものです。ちなみに第一期調査の平均値は約4.3トン/頭で す。これに対して第二期調査の第一回目、2005/2006のミンククジラの収量は、3.7トン/頭と、一頭あたり0.6トンも急に減少しています。
回答5からするとこれは小型化によって引き起こされたのではなく、調査船団の何らかの事情によって、「収量を減らした(昨年までは収穫してきた部分を捨ててきた)」結果であると判断します。
〔質問6〕
国際捕鯨取締条約にしたがって、日本の捕鯨調査では一物のすべてを使い切るとしてきました。しかし、一部の肉や内臓は廃棄されていますがこれは日本の主張と食い違っていませんか?
〔質問6への回答に対するIKANのコメント〕
「日本はクジラをあますところなく利用してきた」とは、水産庁、日本捕鯨協会などの発行物に散見される記述です。また、国際捕鯨取締条約第8条第2項を、調査副産物の販売の根拠としてきたのは日本政府です。それに対して今回、「可能な限りを(…as pravtivcable…)」のくだりを「無理して利用しなくて良いんだよ」と解釈し、残滓を増やしたことを正当化する回答を得たと理解します。
〔質問7〕
日本の調査なのに鯨肉の運搬用に日本船籍ではない便宜地籍船を使うのはなぜですか?
〔質問7への回答に対するIKANのコメント〕
単に、「日本船籍ではない船をなぜ使うのか」を質問しました。想定した回答は、「日本には必要な性能の船舶がないから」「便宜置籍船のほうが安かったから」などでした。便宜置籍船の評価については全く勘案していない質問です。質問を正しく理解してください。
〔質問8〕
捕鯨母船が老朽化した場合、調査は停止しますか? あるいは新たに船を建造するのですか? 建造する場合、誰がお金を出すのですか?
〔質問8への回答に対するIKANのコメント〕
実際に捕鯨母船が使用に耐えなくなったとき、調査が評価されていなければ建造はされないと理解していいのですね? ただし不安なのは回答3の「調査結果のレビューの結果を評価し」です。レビューの内容が不満であればレビュー結果を受け入れない可能性も懸念されます。