北西太平洋における『調査』捕鯨の中止要請書

2001年5月11日(金)
総理大臣 小泉純一郎 殿
農水大臣 武部 勤 殿
外務大臣 田中真紀子 殿
(財)日本鯨類研究所 理事長 大隅清治 殿

北西太平洋での『調査』捕鯨をおやめください

私たちは、日本国内でイルカ・クジラの保護活動をしている市民グループです。大型の野生動物であるイルカ・クジラは、商業的な捕獲や流通には適さないと考え、商業捕鯨再開に反対しています。また、商業捕鯨再開のために行われている調査捕鯨にも反対しています。

私たちのグループは、先の52回IWC会議に商業捕鯨再開と調査捕鯨拡大に反対する国内66団体の賛同署名とステートメントを提出し、 日本国民すべてが捕鯨に賛成しているわけではないことを世界に伝えました。ステートメントおよびに賛同名簿は別紙のとおりです。

この5月、国内外の批判にかかわらず、またもや調査捕鯨船が北西太平洋に出航しようとしていることを知り、私たちは大きな悲しみと憤りを覚えています。

政府・業界は、これまで商業捕鯨再開の正当性を『漁業者の雇用問題』から『伝統文化』、そしてまた今度は『海洋生態系保護』へと変化させてきました。人間の開発と乱獲による魚資源激減をクジラのせいにしてしまえば業界にとっては都合がいいかもしれませんが、「クジラの過剰な保護が海洋生態系のバランスをくずしています」

(鯨類研究所のパネルより)などと証明もできない非科学的な主張を繰り返しても世界の人々を納得させることはできないだけでなく、世界に恥をさらすようなものです。

海洋汚染問題が深刻さを増していますが、これは私たち人間活動の結果です。その結果、長命で食物連鎖の頂点に位置するクジラ類が一体どうなってしまうのか、特に汚染の激しい北太平洋でクジラ類の未来はあるのか私たちは気掛かりです。少なくとも資源利用のための短期間な致死的調査で、こうした問題が解明できないのは明らかです。

一方この汚染によって、クジラ肉を食べることによるリスクも生じました。ミンククジラの脂身のPCB 汚染のデータも出ていますし、前回捕獲されたマッコウクジラは、汚染除去のための加工で行き詰まっていまだに販売できない状況と聞いています。にもかかわらず、今回も捕獲された肉は市場に出回ると考えられます。このようにして、捕鯨の推進は、日本に住む人々に余分なリスクを押しつける結果にもなるのです。

反対する人たちが少なからずおり、クジラ肉による健康被害も問題であるにもかかわらず、捕鯨の費用の一部は私たちの税金で賄われています。しかもその結果、世界中の非難を浴びるのですから、私たちにとって踏んだり蹴ったりの計画です。

責任ある方々がこうした点を考慮され、計画を白紙に戻してくださることを念じてやみません。

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
担当者:事務局・倉澤七生
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