日本のイルカ猟
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- 作成日 1999年12月31日(金曜)15:54
▼日本のイルカ猟の経緯
1986年にIWCで捕鯨のモラトリアムがきまった後、イルカの肉が急騰しました。イルカ肉がクジラ肉の代用品としてたくさん市場に出回ることに なったからです。これまでカジキマグロの突きん棒漁を行っていた漁師たちなどがイルカ猟に参入するなどして、捕獲高は倍増してしまいました。
イルカ等の沿岸小型鯨類について、IWCはその管理を各国に任せています。日本政府=水産庁はこのイルカ猟の急増に対し野生生物保護の視点ではなく「資源保護」の観点から1991年、イルカ捕獲を許可する 船の登録制度を作りました。さらに1993年にはIWCの直接管轄外のイルカ・クジラの種を3つにわ けて管理をはじめました。
- 資源量が明らかでないので捕獲しない種
- 資源量が捕獲にたえられるのでイルカ猟の対象種となるもの
- 資源量がほとんどないために捕獲禁止のもの
の3つです。
2の捕獲対象種については都道府県ごとの捕獲枠の割り当てを決めましたが、それまでの資源調査にもとづいた頭数をそれまでの実績に比例して各県に割り当てるという方法が取られました。
2の捕獲対象種については都道府県ごとの捕獲枠の割り当てを決めましたが、それまでの資源調査にもとづいた頭数をそれまでの実績に比例して各県に割り当てるという方法が取られました。
▼1999年現在の捕獲許可 (ツチクジラ以外は当初から変わっていません)
ツチクジラ | 小型捕鯨 | 62 頭 (1999年より。それまでは 54 頭) | 北海道・千葉 |
イシイルカ | 突きん棒 | 17,700 頭 | 青森・岩手・北海道 |
コビレゴンドウ | 追い込み・突きん棒 | 500 頭 | 和歌山・沖縄 |
ハナゴンドウ | 追い込み・突きん棒 | 1,300 頭 | 和歌山・沖縄 |
オキゴンドウ | 追い込み・突きん棒 | 50 頭 | 和歌山・沖縄 |
ハンドウイルカ | 追い込み | 1,100 頭 (他に長崎で追い込みによる有害駆除あり) | 静岡・和歌山 |
マダライルカ | 追い込み・突きん棒 | 950 頭 | 静岡・和歌山 |
スジイルカ | 追い込み・突きん棒 | 725 頭 | 静岡・和歌山 |
▼イルカ猟の問題点
- スジイルカとイシイルカの捕獲数を減らすようにというIWCからの勧告がたびたびだされているが、水産庁はこれに従おうとしない。
- 捕獲数は自主申告制なので、違反する漁協、漁業者もある。
- 密猟が横行している。
- 追い込み猟はイルカの群れにあたえるダメージが大きく、群れの消滅につながる可能性がある。
- 家畜を食肉のために殺す時も苦しめないように配慮することが常識なこととくらべ、追い込んだイルカを選別する際ひどく傷つけたり、解体する方法が残酷で不必要な苦しみを与える事例がある。
- 日本でクジラ肉として流通しているもののなかにイルカ肉や、違法に捕獲されたマッコウクジラ・ザトウクジ ラ・シャチ・トドなど、さらには馬肉まで混ざっていることがIWCの会議で指摘されている。これまで水産庁の担当者は「イルカもクジラ類である」として、イルカ肉をクジラとして売ることを黙認してきた。
- 食用として出回っているイルカ・クジラ肉がPCB、DDT、水銀などの化学物質によって高濃度に汚染されている。
●1993年から継続している捕獲枠は見直す時! 1999年までの捕獲頭数累計はこちら