第2期北西太平洋調査捕鯨(JARPN II)への抗議書

2006年5月23日(火)

南極第二期クジラ捕獲調査(JARPA II)に反対し、捕獲船団の出航に抗議する


イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
事務局長 倉澤七生
 

 南極海での“調査”捕鯨から戻って1月もたたないうちに、再び捕鯨船団が今度は北西太平洋に向けて出航したという知らせにたいへん驚いております。
 殺して行う調査については、再々考え直すようにという決議がIWC(国際捕鯨委員会)で採択されているところですし、また、エドワード・O・ウィルソン やセオ・コルボーンなど国際的にも著名な科学者が2001年のニューヨークタイムズに反対の意見広告を出しましたし、昨年6月には調査捕鯨の問題点を指摘したIWCに所属する科学者たちの論文が科学雑誌「ネイチャー」に掲載されています。
 特に非常に残念に思いますのは、調査捕鯨の理由のひとつであるクジラと漁業の競合について

です。2002年の下関における第54IWC会議においては、天から降ってくる魚を大口を開けたクジラが待ち受けているポスターが作られ、日本国内でも生態学や動物学の専門家の失笑を買い、あるいは恥ずかしい思いをさせました。こうした生態系への間違った理解は、日本が根拠とする「科学的調査」の質を決定的に貶めるものであり、また、国内で地道に研究している専門家たちの質さえ疑わしくさせる迷惑極まりないものだといえましょう。漁業資源の減少の一番の責任は人間の乱獲です。また、沿岸域における開発行為や海洋汚染もこうしたことに拍車をかけるものです。
 もうひとつ残念なことは、南極海や北西太平洋での調査に税金を投入する日本政府が生物多様性条約を批准していながら、沿岸の生態系への十分な配慮をせず、特に資源的に利用価値の少ない海生哺乳類の種についてはろくに調査さえ行わないという事実です。
 もし、本気で持続可能な社会をめざし、持続可能な資源の利用を考えるならば、まず沿岸における調査を行い、それにしたがって地域での漁業の再生をこそめざすべきで、遠い海にざわざわたくさんのエネルギーを使って行う商業捕鯨を推進するのは納得がいきません。また、クジラ肉需要が大幅に減少して在庫があふれている現在、わざわざ消費をあおるキャンペーンや学校給食への導入を私たちの税金を使って行うかわりに、どれだけ実際に私たちに必要か、どのような形で継続すべきかを真摯に問いかけることこそが政府の役割ではないかと思います。
 これ以上、無駄な税金を使う調査捕鯨を継続しないでください。

以上

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