スジイルカ (striped dolphin) Stenella coeruleoalba
評価:IUCN-LR/水産庁-希少(太平洋沿岸個体群)普通(太平洋沖合個体群)日本哺乳類学会-危急(伊豆半島周辺と和歌山県沿岸で捕獲されてきた1つないしは複数の個体群)普通(その他の北部北太平洋個体群)
青みを帯びる黒い背、灰青色の側面と白い腹の境の黒線から名前の由来がわかる。世界の温帯と亜熱帯海域の外洋に分布しているが、分布は連続しているわけではなく、地理的に孤立したいくつもの個体群があると考えられている。
日本沿岸域には三陸沖、三陸から四国沿岸までとそれよりも南に分布する個体群があると考えられている。
妊娠期間は推定12ヵ月で1産子は他種と同じ。子どもは、乳離れすると同じくらいの年令の子どもの群れに加わるらしい。群れの構成は、この未成熟個体の群れの他に、成熟個体による交尾可能な繁殖個体、交尾は行わない成熟個体群などがあると考えられている。
日本沿岸では、伊豆地方で17世紀から追い込み猟によって捕獲されてきた。その捕獲は第2次大戦末期から戦後にかけて飛躍的に増大、59~60年代にかけ て毎年1~2万頭が捕獲され、和歌山県太地、千葉なども追い込みを行ったために推定個体数は50年代の10%にまで減少した。しかし、こうした大量捕獲は 長続きせず、80年代始め頃までには1000頭以下に捕獲数が激減、伊豆に4カ所あった捕獲地は次々に廃業し、現在伊豆は富戸のみとなり、その他に太地が 捕獲枠を持っている。伊豆(富戸)では91年を最後に捕獲がストップしたままである。
スジイルカは、また化学物質の高濃度汚染でもよく知られ、種の存続にいかなる影響を及ぼすのかが懸念される。