ザトウクジラ (hunmpback whale) Megaptera novaeangliae

humpback

体長:13~14m
体重:30t
評価:IUCN-VU /水産庁−危急—日本近海個体群、希少(その他北太平洋)/日本哺乳類学会−危急

ほとんど世界中の海に生息し、繁殖、子育てする時期を暖かくて比較的浅い海域で過ごし、冷たい海域で小魚やオキアミを食べる。瘤のある頭部と体長の3分の一近い長さの胸ビレを持つ。

ザトウクジラはまた、長く複雑な「ソング」でも知られる。この歌は、繁殖期のオスによって歌われるもので、いくつかのフレーズで主題が形づくられ、それが繰り返されて歌われ、時によると数時間も続くことがある。歌は、同じ繁殖海域ではどのオスも同じように反復して歌うが、歌は毎年少しずつ変化していき、何年か後には全く違ってしまう。

妊娠期間は11~11.5ヵ月で、母子は10~12ヵ月間一緒に過ごす。この母子に「エスコート」と呼ばれるオスがつき従うことがある。このオスは、クジラとの交尾の機会をうかがっていると考えられている。クジラ同士、長期間に渡る緊密な関係をもたないが、餌となる小魚の群れを捕獲する時に「バブルネット・フィーディング」と名付けられたチームプレーを行うことがある。これは、水中でクジラがらせん状に旋回しながら気泡を出し、その泡のカーテンで小魚の群れを閉じ込め、リーダーとなるクジラの合図の鳴き声で数頭のクジラが一斉に餌を飲み込むものである。

ザトウクジラは、泳ぐ速度が遅く、また、船をおそれなかったために、早い時期から捕鯨対象とされ、多くが殺された。 20世紀初頭に、北太平洋で11,000~27 ,000頭、西部北太平洋にはおよそ 2500 頭のザトウクジラがいたと推測されているが、 1965 年には北太平洋全体で1000 頭まで減少してしまった。捕獲は、この海域では1966年に禁止されたが、40年近くたつ現在も回復は十分ではない。

日本の沿岸では、小笠原と沖縄に繁殖海域があり、個体の交流も認められる。この海域の個体は、特徴ある尾ビレで個体識別され、小笠原で 490頭、沖縄で89 頭が識別されている。彼らの索餌海域はオホーツク海からベーリング海峡周辺と考えられてきたが、クジラたちのなかには、北米西海岸まで移動するものもいるようだ。

日本政府、日本鯨類研究所は第二次南極クジラ捕獲調査(JARPA II)対象種に50頭のザトウクジラをナガスクジラ50頭とともに付け加えた。南極のザトウクジラは回復しつつあるもののまだその途上である。さらにはクック諸島など島嶼部の孤立した小個体群が捕獲対象になる可能性もあり、周辺諸国を中心に大きな反対の声が上がっている。

(2007年12月5日更新)

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