セミクジラ(right whale) Eubalaena glacialis

right

体長:16m  体重:30~80t
評価:IUCN-EN/水産庁—危急/日本哺乳類学会−絶滅危惧(西部北太平洋の個体群)
温帯から亜寒帯の比較的沿岸近くに分布する。

南半球に生息する「ミナミセミクジラ」と北半球の「キタセミクジラ」に分かれる。また、南半球の温帯域にのみ生息するセミクジラ科の最小の「コセミクジラ」は新たな属として分類されている。

ホッキョククジラと同じように、下あごがアーチ状に上あご にはり出した特異な口をしているが、ホッキョククジラにはないコブ(カラシティ)が上あご や下 あごについている。

海面近くを口を空けたまま泳いで、細かい繊毛についたヒゲ板にひっかかる極小のプランクトンなどを食べている。

他のヒゲクジラとおなじように、索餌と繁殖時期によってそれぞれの海域で南北に移動している。日本沿岸の西部北太平洋個体群については、繁殖海域はわかっていない。

セミクジラのセミ(背美)は、その背中の曲線の美しさからといわれる。日本人の描くクジラは、セミクジラをモデルとしているようだ 。

英名のright whale のright は、泳ぎ 方が遅く、死んでも死体が沈まないため捕獲しやすく、しかも豊富な油やクジラヒゲが採取できたので、「捕鯨に適した」という意味合いでつけられた。

日本では、古式捕鯨で太地などを中心にこのクジラが1878 年まで捕獲され、肉や油とともに、そのヒゲが文楽の繰り糸などに使われた。

セミクジラは、近代捕鯨が始まる前の10~11世紀頃から多数捕獲されてきた。19世紀には世界中で10万頭以上ものセミクジラが捕獲され、1935年には捕獲が禁止された。北太平洋海域ではその後も 1969年までわずかながら継続した。北太平洋の個体数は 100~200頭といわれるが、正確なところはわからない。

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