ナガスクジラの捕獲枠60頭に反対します
2024年6月11日の水産政策審議会において、ナガスクジラ60頭(混獲の可能性の1頭を差し引く)の捕獲が承認されました。しかし、この決定には問題があり、再考すべきです。
1. 審議は無効に!
- ナガスクジラの生息や推定個体数、商業捕鯨枠に追加するための関係研究者(ICR)の検証の過程、海外第三者パネルによる検証の内容は、審議会1時間前まで公表されず、審議委員さえ資料を渡されていないものでした。審議に必要と思われる質疑は行われないまま、水産庁の提示した捕獲枠が認められました。
- 審議委員の構成には、承認する過程の議論で必要と思われる、これまで研究に携わってきた、あるいは関係してきた鯨類研究者や国際政治の専門家が含まれません。クジラの専門ではない数人の学者以外は、業界関係者であり、もともと公平な審議が行われる素地が全くありません。
- 水産庁は、「審議会前に関係業界の内諾を得た」と言っていますが、業界説明を先に行うということは、審議前にすでに規定の路線が出来上がっているということです。
2.審議会における水産庁の誤誘導
- 水産庁は、この5月7日から6月5日まで実施されたパブリックコメントにいて「1000件以上の意見があった」と説明し、そのうちのいくつかの意見を紹介しましたが、賛成、反対の内訳、また寄せられた意見をどのように反映させたのかの説明がありませんでした。
- ナガスクジラの捕獲枠は、「IWCの改訂管理方式(RMP)に沿って設定」と説明がありましたが、IWCでは、北大西洋の推定個体数は公開していますが、北太平洋の個体群構造や推定個体数はまだ存在しません。IWCの基準に沿った『科学的』設定であるような発言は間違いです。
- 操業は日本のEEZ内で実施すると言いながら、その算出根拠となる推定個体数はEEZ内でだけはなく、アリューシャン列島に及ぶ広い範囲の推定個体群、19,299頭としました。推定の根拠となる論文については、公開されたものがありません。
- 2023年9月の設置された海外研究者パネル(日本の友好的な科学者)は、EEZ内のクジラが広く東西を移動しない可能性を示し、局所的な‘枯渇’の可能性を示唆しています。もし、EEZ内のクジラと、その外側のクジラがそれぞれの海域を移動しないと仮定すると、毎年60頭の捕獲で4年後には40%の減少の可能性を指摘されています。100年捕獲し続けても大丈夫という発言は信用できません。
- そもそも、クジラ肉の在庫は積み上がり、新たな捕獲を付け加える根拠はありません。
- ナガスクジラに捕獲枠をつけることに強く反対します。