【共同声明】 新たな調査捕鯨計画の中止を

非致死的調査こそ、世界への貢献

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
 

 2014年3月31日、国際司法裁判所(ICJ)は、日本が2004年に開始した南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)が、国際捕鯨取締条約8条に定められた科学を目的とする調査ではないとし、日本政府に調査の許可証を発給しないよう求めました。日本政府はICJ 判決に基づき、2014/2015年における南極海の鯨類調査を、クジラを殺す事によらない目視調査等で実施するということです。

 

 私たちは、クジラを殺さない調査を歓迎し、政府の決断を称賛します。今、世界の海は、気候変動に伴う海水温の上昇、過剰な漁業や混獲による海洋生物の激減、酸性化、人間活動の結果による海洋ゴミ(Marine Debris)など様々な危機にさらされております。

 そうした状況を鑑みたときに、世界で唯一残された手つかずの南極海の保全が喫緊の課題であり、保全のための海洋調査は人類にとっても必須です。日本政府が南極海の調査を、クジラを捕る目的ではなく、海洋保全を目指して実施すれば、国際社会への多大な貢献となります。


 一方で、日本政府は2014年11月、2015年度から始まる新たな調査捕鯨の計画をIWC科学委員会に提出し、公表しました。9月、スロベニアで開催されたIWC第65回会議において、特別捕獲調査(調査捕鯨)の許可発給は、科学委員会の評価と勧告の元で検討を行うという決議が採択されましたが、日本は、商業捕鯨の復活を目指すとしてその捕獲調査の実施を強行しようとしています。しかし、日本国内での鯨肉需要は停滞し、南極海までわざわざ捕鯨にいく企業もありません。また、1986年調査捕鯨開始時に定められた鯨肉売り上げで調査を継続するという方法は破綻し、多額の税金を使うことでようやく実施できている状態です。


 私たちは、こうした状況から、以下の事を求めます。

  1. 日本政府は、クジラの捕獲調査を今後一切断念すること。
  2. 税金を投入した調査に際しては、その透明性を高めるとともに、一部関係者だけでなく、国際的な貢献を目的とした海洋調査に専心すること。
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