プレスリリース これ以上調査捕鯨に税金を使わないで!
本日4月13日、水産庁と日本鯨類研究所は、今回実施した南極海での調査(JARPA II)の結果をプレスリリースしました。それによると、今回の捕獲は昨年まで南極海で捕獲してきた頭数の倍にあたる 853頭のミンククジラと10頭のナガスクジラとなっています。
しかし、この1月に、私どもが発表したクジラ肉の販売についてのレポート(IKA-NET NEWS No.33 佐久間淳子「余計なお世話ですが ― 調査捕鯨の副産物=鯨 肉の売れ行きを調べました」)では、在庫量が10年前の2倍に増加していることが明らかになりました。また、これに対して水産庁も対策を考えているとされていることが新聞報道などで伝えられています。もともと限られた地域の食べ物であったクジラ肉の需要は、戦後の食糧難や学校給食を経て一時期は一般的に普及しましたが、世代の移り変わりなどによって減少しています。今回の捕獲によって、在庫はさらに増え続けることは想像にかたくありません。捕獲数の倍増は、「科学的な根拠から」とされていますが、「捕殺数はもっと少なくて良いはず」との反論も鯨類学者から出ています。「殺さずにできる」という主張もあります。なによりも、在庫量の増加は日本政府が調査捕鯨の根拠とする国際捕鯨条約第8条の「副産物の利用」にも反する行為です。
政府は、鯨類研究所に対して、この調査を含む事業に毎年およそ10億円もの補助金を投入しています。1987年から累計すると総額140億円になります。そのほかに、水産庁は率先してクジラ肉の普及啓発に努め、販売促進を行ってきました。私たちは、国際的にも大きな疑問符をつけられている調査捕鯨に対して、莫大な公金が投入されることに強く反対します。また、以下のような問題点によっても、調査捕鯨の実施は問題であると考え、再考を促します。
- 公海において特定の海域をほぼ独占的に特定の一ヵ国が継続して調査し、その規模を年々拡大していることは妥当ではない。公海の資源調査であれば、IWCが実施主体となるべき。
- 特定の海洋生物種を研究するために、独立行政法人である水産総合研究センター(遠洋水産研究所)ではなく、わざわざ(財)日本鯨類研究所を設置したことは疑問。
- 特定の海洋生物種を研究するために、特定の株式会社(共同船舶)が独占的かつ恒久的に事業を受注している状況は公益性にかけるのではないか。
- 税金を投入して続けている調査捕鯨の副産物であるクジラ肉のだぶつきを、税金を投入して解消することは問題。
以上