2007年12月17日 NGO共同声明

ザトウクジラを含む“調査”捕鯨の中止を求める

 11月18日に日本の捕鯨船団は、南極海に向かい下関港を出港しました。私たちは、日本政府が許可を出し、(財)日本鯨類研究所が実施しようとしているこの第2期南極海鯨類捕獲調査(JARPA II)の計画に大きな懸念を抱いております。今回の計画は、ミンククジラ850(±10%)頭、ナガスクジラ50頭に加え、新たにザトウクジラ50頭の捕獲を含むもので あり、クジラの種及び捕獲数の拡大が見られ、科学的な調査としての役割を明らかに逸脱しています。
 ご存知のように、過去の捕鯨全盛期において、ザトウクジラは、その好奇心の強さと逃げ足の遅さが禍いして、繁殖海域でも、移動中にも、そして索餌中に も、すべての生活段階において激しく捕獲された種です。1966年に全海域で捕獲禁止になり、最近になってやっと回復の兆しが見えてきたばかりです。
 捕獲が禁止されてからというもの、ザトウクジラは特異な姿と歌声で人々を魅了し、多くの海域でホエールウォッチングの花形として愛されるようになりまし た。日本においても例外ではありませんが、特に経済的に豊かではない島嶼部などでは、観光資源として人々の生活を潤しています。
 一方、最近の非致死的調査研究の目覚しい発展から、これまで生態が不明であった南太平洋の島嶼海域のザトウクジラの生態が明らかになり、孤立した小さな 群れがいくつも存在することが分かってきました。これらの小さな群れは、まだまだ回復が不十分であり、更なる保護を必要としていると考えられています。
 また、オーストラリアの回復しつつある群れにおいても、捕鯨以前と比べれば、その回復はまだまだ不十分であり、オーストラリアの人々はザトウクジラの生態解明のために非致死的方法を用いて個体識別などの調査を進めています。
 これらのクジラが繁殖シーズンを終えて、餌を求め回遊していくのが南極海です。残念なことに、今回の日本の調査計画では、こうした群れのクジラたちが ターゲットになる可能性が高いと考えられます。そのため、オーストラリアやニュージーランドをはじめ、当該島嶼国や研究者達は日本の計画に強く反対し、抗 議を行ってきました。
 こうした状況下において、ザトウクジラの捕獲は国際的な信頼関係を損ない、公海における生物多様性保全を脅かす無謀な計画だと言わざるを得ません。今一度こうした現状を認識し、ザトウクジラ捕獲の断念と調査計画の見直しを強く望みます。

IFAW(国際動物福祉基金)
グリーンピース・ジャパン
イルカ&クジラ・アクションネットワーク
エルザ自然保護の会
ピースボート
北限のジュゴン見守る会
ALIVE 地球生物会議
関西野生生物研究所
国際海洋自然観察員協会
鉛弾規制同盟

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