太地シャチ捕獲事件から10年

「太地シャチ捕獲事件1997年」

太地 で5頭の シャチ が捕獲されてから、今年で10年目です。

捕獲された経過は以前にお伝えした通りですが、この間、同年(1997年)6月に、一番小さい子どものシャチと、妊娠して いたといわれたメスのシャチが、飼育されていた アドベンチャーワールド で相次いで死亡しました。

「捕獲された5頭のうちすでに3頭が死亡」

さらに、1昨年には、同じくアドベンチャーワールドで飼育されたいたオス(キューちゃんとよばれていた)が死亡し、5頭のシャチは2頭になり ました。

そのうちの太地くじらの博物館の「クー」は5年期限で名古屋港水族館に貸し出されており、 伊豆三津シーパラダイス に アイスランド のシャチ「ヤマト」のお嫁さんとして運ばれたメスの「アスカ」はひとりぼっちでいます。

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「クー」                    「アスカ」
  
「太地のシャチを海へ」

私たちは、名古屋港水族館を考えるなかまたちとともに、最後に残された2頭を一緒にしてリハビリを施し、海にかえしてほしいという計画書を作り、運動をしてきました。  


 「群れは果たして生き延びられたのか?」

捕獲された群れに所属していたシャチは全部で10頭でした。大きなオスと子シャチの母親と思われる大きなメス、それよりはいくらか若いオスとメスは解放されましたが、未来の世代をもぎ取られた群れに果たして将来はあるのでしょうか?そして、今、もし生存しているとしたら、彼らはどこに?

うわさでは、残されたシャチが何者かに捕獲され、解体されて大阪で売られていたということも聞いています。実際に、NGO調査では、シャチの肉が市場に出回っていたことも確認されています。

なぜか、水産庁の資源評価では、学術目的で捕獲されたシャチの数が6頭になっていますが、ではその残りの1頭はどこでどのように飼育されたのか誰も知りません。資源評価そのものが不誠実なものなのではないかと思われます。

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「日本沿岸のシャチの生態」

日本沿岸のシャチの生態については、ほとんどといっていいほどわかっていないのは水産庁の資源評価でも明らかです。推定個体数は目視情報による「多種との発見比率」からの類推で、太平洋側に1600頭、オホーツクで721頭と出されています。

一方、北米西海岸ではすでに個体識別がすんでいますが、1970年代に水族館用の捕獲による個体数減少が懸念されて行われた調査では、数千頭いると考えられていた個体数が定住性、移動性のシャチ合わせても、1000頭に満たないことがわかったのです。日本の場合は、過去における捕獲の実績があることを考えれば、さらに少ない可能性さえあります。

個体識別が容易なシャチに関して、民間での調査がほそぼそとですが行われています。しかし、日本では、資源利用のメリットが少ない種に関しては十分な調査が行われません。年数回、船から見える数を数えただけで一体どれくらい正確な生態が分かるというのでしょうか?

「学術目的???」

水産庁の評価でも、過去およそ1600頭が捕獲された日本沿岸で、シャチの個体群のなかには減少しているのがあるかもしれない、と書かれています。水産庁の評価では、希少種に分類され、学術目的以外の捕獲は許可されていません。しかし、1997年の際に1頭数千万円で販売され、ショーと集客に利用されてきたことを私たちは忘れていません。

日本沿岸ではあいかわらず、シャチのタイプはどうなのか、いくつの個体群があるのか、 どの海域でそのような生活をしているのかなど、何一つ分かってはいませんが、捕獲してデータを取ることがこうした調査に貢献しているとは思えません。

今のところは、シャチの捕獲をしようと名乗り出ているところはありませんが、人気があり、多額の取引が可能なシャチについてはいつだれが欲を出すか油断ができません。また水産庁は、学術目的であれば絶対禁止するというわけではないといっています。

生物多様性国家戦略を1993年にいち早く批准し、水産基本法で「生物多様性保全」をうたい、科学的な根拠で持続的に利用すると豪語している日本がこのようにあいまいでいい加減な根拠で世界の共有財産というべき希少な動物を捕獲するのはとんでもないことだと皆さんも思われる ことでしょう。

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