名古屋港水族館への緊急提案

「太地スリー(クウ、キュウ、アスカ)の合流からリリースへ!」


 1998年、名古屋港水族館が同館内でのシャチの飼育を宣言してから、私たちは一貫して水族館へのシャチ導入に反対してきた。
 その理由は、

  1. 海洋生態系の頂点に位置し、もともとか生息数が限られているシャチの野生捕獲は海洋生態系にとっても、また、人間にとっても損失であること。 ことに、調査研究が不十分なロシア海域での捕獲は、IWC科学委員会での中止勧告でもわかるように、国際的にも許されない行為であること。
  2. シャチのように広い大洋を広範囲で移動し、家族単位の群れで社会的な生活を行う動物を家族から引き離し、狭い人工的な水槽に一生閉じ込めることは、動物の福祉に反する非道徳的な行為であり、教育的にも間違っているということ

にも関わらず、今回の太地からのメスの導入を以下の条件をもって歓迎するものです。

 1997年に太地における捕獲は、「学術目的」と言う特別枠で捕獲された半ば公共的なものである。従って、シャチ飼育はその目的に沿って公共の利益に資するものでなくてはならない。

 今回の移動に際しては、太地町立くじらの博物館との共同研究ということから、移動に関しても、研究に関しても、しかるべき合理的な理由が必要である。名 古屋港水族館の計画にはこの公共性・合理性が、十分備わっているのかどうか不明である。また、当該シャチは「ショーに使用してはならない」という97年の 水産庁及び日本動物園水族館協会からの告知が出ているので、当該水槽で予定されているといわれるパフォーマンスはこれに違反するものである。

 これまで、すでに、飼育下でのシャチ研究はさまざま十分過ぎるほど行われてきた。飼育下での繁殖も行われた。従って、現在、唯一合理的と考えられる全く 新しい、市民にとっても利益となる研究は、日本沿岸のシャチの生態の解明に役立つ太地で捕獲された3頭の家族の再会とリハビリ、そしてリリースである。

 研究計画書は、カナダにおいて、過去30年間野生シャチの調査研究を行ってきたポール・スポング博士が作成した。また、リハビリプログラムについては、アメリカのフリーウィリー・ケイコ基金がその経験から支援を申し出ている。

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