太地イルカ漁に関する声明

国内での問題解決の努力を


私たちは、この11月に 太地で起きた海外活動家のイルカ猟撮影、海外での記者発表とメディア報道、抗議行動、活動家の逮捕に関して、その一連の行動が問題の解決に寄与しないと考え、遺憾の意を表明します。

確かに、 太地において継続されているイルカ猟には大きな問題があり、再考すべきであると私たちは考えています。その問題は繁殖率の低い野生大型哺乳類であるイルカが継続的に高い捕獲圧で捕獲されてきたこと。

1993年に定められた捕獲枠が、(a)その時点で研究者から懸念があるような数値で、(b) すでに種によっては毎年捕獲枠を下回るものがあるにもかかわらず、(c)見直しが一度も行われていないこと。

生息状態から推測できるもとの群れの数を上回る捕獲枠に基づく追い込み猟によって、地域個体群の消滅を繰り返してきた恐れがあること。

捕獲数の申告は漁業者による自主申告であること。

捕獲され、流通している沿岸のイルカ肉のほとんどが国の基準を超えた水銀など化学物質の複合的な汚染を受けていることが厚労省の03年1月の報告で明らかにされ、食品としての適切さを欠くにもかかわらず生産が繰り替えされ、汚染の検査体制も出来ていないこと 。

です。これらの問題は、生物多様性条約を批准している我が国の施策と矛盾し、また、食品の安全性への軽視にもつながるものです。

一方で、度重なる海外からの抗議は、問題を明らかにする代わりに「東西の文化対立」、「感情的なイルカ愛護者と気の毒な漁業者」という問題の本質と関係ないところへのすりかえを容易にし、解決に支障をきたす結果を招きました。海は誰に属するものでもなく、海に住むたくさんの命もまた人間の所有物ではないので、本来は誰でもがイルカ猟に異議を申し立て、抗議する権利を有しています。しかし、すでに議論のねじれが生じている現在、私たちは国内においてまず冷静で建設的な議論を始めない限り、問題の真の解決はできないと考えています。ここに皆さんのご関心と問題解決への参加を求める次第です。

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