ブックレット 『お帰りなさいA73』発売!

素晴らしいオルカ(シャチ)の世界を紹介するブックレット

ブックレット「お帰りなさいA73」ができました。

ここに書かれていることは、この夏にカナダで本当に起こったことです。

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たった2歳のみなし子オルカは、血縁の仲間のいるカナダへ移送されます。わずか1年たらずとはいえ、母親をなくしてさまよっていた子オルカが、果たしてどのように仲間に迎え入れられるか。これを計画したオルカの保護に携わる多くの人々、研究者やアメリカとカナダ両政府機関の関係者も、初めての経験に緊張し、その成りゆきを大変気づかったようです。

しかし、その結果は予想を上回り、オルカの社会や行動の理解に、新たな、そして輝かしいページを付け加えることになりました。

大勢の人や船の存在にもかかわらず湾に入り込み、帰ってきた子オルカを迎える仲間たち、自分の所属する群れの呼び声に大声で答えるA73、海峡に次々と集まってくるオルカの群れ。驚くべき彼らの行動の数々に、多くの方が涙を誘われたのではないでしょうか。

オルカは、ご存知のように海の哺乳類でマイルカ科の最大のもので、血縁の群れを作り、魚や群れによってはトドやクジラなどの海生哺乳類を食べます。しかし、オルカについて私たちが知るようになったのはごく最近、それまでの長い間、オルカは「クジラをも襲うどう猛な動物」というレッテルをはられ、殺されてきました。英語の『キラーホェール』は『殺しやクジラ』という意味ですが、それは彼らの生態からいってあまりにひどい、というので、学名のオルシナス・オルカから『オルカ』という名前で呼ばれるようになったのも最近のことです。あんなに大きくて、力も強い動物がおだやかで人に危害を加えないことがわかると、早速水族館が目をつけ、一時は水族館用に多数が捕獲されました。

でも、同時に、その生態が詳しく知られるようになると、シャチを狭い水槽で飼育するのは間違いであるという認識を多くの人が持つようになりました。

この中にでてくるのは、 北米西海岸 のオルカの北のコミュニティーですが、南のコミュニティーとともに、沿岸に定住し、サケを主食とする「レジデントオルカ」と呼ばれています。この群れの他に、この海域には、アラスカからメキシコのあたりまで広く回遊する海生哺乳類を食べる「トランジエント」、沖合いに生息する「オフショア」の3つのコミュニティーの存在が 明らかになっています。

海の食物連鎖の頂点にいるオルカはもともと数が多くありません。いまではほとんどの海域でオルカの捕獲は禁止され、日本でも 1997年の和歌山県、太地での捕獲 を最後にとまっています。

しかし一方で、オルカが人気者であることから、水族館は客寄せの目玉としてオルカを飼育したがっています。その一つが愛知県にある 名古屋港水族館 です。名古屋港水族館は、まだほとんど調査が行われていない ロシアのカムチャッカ で、オルカの捕獲を依頼しました。水族館の関係者は「シャチの素晴らしさを見せるため」といいますが、コンクリートの狭い水槽で飼われたオルカのほとんどが驚くほど短命で、自然界の寿命の3分の一以下で死んでしまいます。また、幼いうちに家族の群れから離されたオルカたちは、最初こそ飼育係りのいうことを聞いて仕込まれた芸をしますが、だんだん飽きて、行動も異常になっていきます。A73の行動、その意志の強さと仲間の交流を知ったみなさんにとって、この事実は少しも不思議ではないのではないでしょうか?

ロシアのオルカについては、最近ようやくカムチャッカ海域での調査が始まったところです。きっと、A73について知ったみなさんは、ロシアのオルカたちがどのような生活をし、どのようなストーリーがそこにあるか知りたいと思われるのではないでしょうか? 少なくとも、乱暴にオルカを捕獲し、家族を散り散りにすることでそのことを知ることは不可能であることだけは確かです。

広い海原を自由に生き、互いにいたわりあい、強い絆で結ばれているオルカたちの姿を知ることは、いかに水族館のオルカの飼育が間違った残酷なことであるかを多くの人たちが認識するきっかけにもなり、同時に私たち自身の生き方を振り返ることにもつながります。

自然に生きるオルカをはじめとした野生の命の尊厳を尊重するのは私たちが地球に暮らし、このたったひとつの世界をともにわかちあうための知恵だと思います。

どうか、1人でも多くの人に、このオルカからの貴重なメッセージを伝えてくだるようお願いします。オルカについての理解が深まり、やがて全てのオルカたちが水族館から解放されることを心から祈りつつ。

ブックレット「お帰りなさいA73」三屋智子/著 オイコス編集部/編

特別頒布価格/送料込み 500円

申込はイルカ&クジラ・アクション・ネットワークへ

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