そしてだれもいなくなった・・・・・

1月21日、アドベンチャーワールドに最後に残された シャチが急性肺炎で死んでしまった。ゴローという名まえの体の大きい、おだやかなオスで、1985年に太地で捕獲され、アドベンチャーワールドで20年飼育されてきた。捕獲当時は2歳と推定されているので、享年22歳、飼育年月は短くなかったといえるだろうが、野生ではまだ死ぬ年とはいえない。ゴローを知るものは、イルカとも仲が良く、ほかのシャチに友好的であったおとなしい、どちらかといえば「ぶきっちょ」な オスの死を心から悼んでいる。

アドベンチャーワールドは昨年にも大人のシャチ2頭と生まれたばかりの子シャチを失っている。 母親のランはアイスランドで1989年に捕獲され、1990年同地の水族館からアドベンチャーワールドにやってきた。8月に子を生み、その子シャチが死んだあとを追うようにしてなくなった。

父親オスのシャチ、キュウは1997年に太地で捕獲され、ともに運び込まれた家族2頭が同年に死んだ後、唯一 生き残った個体で、まだ少年の域をでたところであったと思われる。終始、ランに寄り添い、同じ細菌による感染で命を落としたとされている。

国内でシャチを飼育している水族館は5館から4館となった。その中で、突出してシャチの死亡が記録されているのはアドベンチャーワールドである。

1995年にランとともに捕らえられ、アイスランドからともに購入されたアイは1995年に死んでいる。1997年には、太地で学術目的の特別枠で捕獲され、搬入された3頭のうち妊娠していたとされるメスと子どもオスが相次いで死亡し、 2000年には同じくアイスランドからきたメスのシャチ、ルカが死んだ。そして、昨年9月とこの1月ですべてのシャチを失った。

聞くところによると、同水族館は、飼育プールの環境改善のために新たな水槽を建設予定であったそうである。 その工事が今後どのように行われ、将来、彼らがシャチ導入を計画しているのかどうかはわからない。

このほど県の担当者が立ち入り検査を行った。

それによると、「同水族館は毎時72トンの海水をろ過機を通して3本のパイプから4つの水槽に引いている。 しかし、水槽はすべてつながっており、感染などが起きたときに隔離できない状態である。」とのこと。

私たちは県の担当部署に引き続きの監視を依頼した。

私たちは、希少な野生動物であり、広い大洋で生きるシャチを水族館のような人工的環境で飼育することそのものに反対している。劣悪な飼育環境での飼育については さらに強く反対であることはいうまでもない。

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