「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正に関する要望書

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
事務局長 倉澤七生

このたび、「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正で、施設の有無に関わらず、すべての動物取り扱い業者が登録制となったことは、動物の福祉にとっての大きな1歩であると歓迎いたします。改正に伴い、とくにこれまで産業動物として考えられ、動物福祉の対象外に置かれ続けて来たイルカやクジラの捕獲、畜養、輸送、販売、飼育全ての場面で、動物の福祉にかなった判断がなされるべきと考え、以下の要望をいたします。

『背景』

日本は四方を海に囲まれ、多様な海産物を食べる習慣があった。そのため、海の生態系にとって要となるイルカやクジラについても、産業利用にのみ力点が置かれ、希少種としての保護あるいは動物の福祉という観点は軽んじられてきた。しかし、時代の変化とともに、イルカ類は食肉利用よりも水族館からの依頼による「生け捕り」の占める割合が増えている。昨年 10月の静岡県における捕獲は、水族館への販売が目的で、食肉売買は行われなかった。しかし、生け捕りを目的とした猟であったにかかわらず、湾に閉じ込められたイルカたちは、漁業者と水族館飼育者による選別の作業中に多くが負傷し、記録されただけでも 7頭のイルカが溺死している。

『要望』

  • イルカの水族館への導入は、海外から輸入される場合をのぞき、イルカの群の複数の漁船での追い込みから漁業組合の私有地(湾など)での囲い込み、水族館の選別・捕獲、(場合によっては餌付けのための畜養)、輸送、飼育という一連の動きによるものである。よって、動物の福祉の観点から、イルカについては捕獲から動物取扱い業の範疇と考え、福祉への配慮を徹底していただきたい。
  • イルカ類は簡単に入手できる消耗品として扱われて来たため、死亡して別の個体が同一の愛称で展示されて知るケースがある。動物の福祉を推進するため、水族館のみならず、セラピー施設、タッチング施設においても個体の登録を実施されたい。
  • イルカ類はコンクリートの水槽という閉鎖的な環境で生活する。広さのみならず、水の循環や使われる薬剤、自然光の有無など、多くの場面で飼育環境の善し悪しは大きく左右される。EU など先進的な事例を参考に動物の飼育基準を厳しくし、基準にあわないような劣悪施設を追放されたい。

以上

insurance
insurance
insurance
insurance