プレスリリース「アイスランド産ナガスクジラ肉のペットフード利用を憂慮する」
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- 作成日 2013年5月28日(火曜)09:21
東京。2013年 5月28日。Animal Welfare Institute(動物福祉研究所AWI)、Environmental Investigation Agency(環境調査機関EIA)、Whale and Dolphin Conservation(クジラ・イルカ保全WDC)、並びにイルカ&クジラアクション·ネットワーク(IKAN)は、アイスランド産のナガスクジラが日本で「犬用のおやつ」として販売されていることについて、強い懸念を表明します。 クジラやイルカ肉が日本でペットフードの材料となっていることは以前から何度も指摘されてきましたが、アイスランドの捕鯨企業Hvalur HFが捕獲した絶滅のおそれのある種である北大西洋ナガスクジラの肉を、日本のペットフード会社「みちのくファーム」が 犬用スナックを生産するために使用していることは問題があります。
アイスランド産ナガスクジラは、人の食用に2008年から日本で販売されてきましたが、ペットフードへの使用は、アイスランド鯨肉の新たな市場開拓が試みられていることを表しています。この輸出市場のために、2013年には180頭を超えるナガスクジラを捕獲する用意がアイスランドにはあるということですが、私たちは、犬用のおやつ製造のために、絶滅のおそれある種の肉を使用することに、環境保護の観点から、あるいは経済的見地から、どのような必然性があるのか多いに疑問を抱いています。
「絶滅危惧種のクジラをペットのスナックにしてしまうというのは嘆かわしいことですが、捕鯨産業が、残酷で不必要な捕鯨をなんとか継続しようとする悪あがき以外のなにものでもありません」と、米国に拠点を持つ動物福祉研究所(AWI)の事務局長、スーザン・ミルワードは述べました。
EIAシニア・キャンペーナーのクレア·ペリーは、「 甘やかされたペットに絶滅危惧種のナガスクジラを供給するため、このアイスランドの会社が2つもの国際条約を踏みにじっていることは、異様なことです 」と述べました。また、「今回の件のように、種の保全への取り組みや国際的な協定を真っ向から否定するような事業が存在するなかで、楽天をはじめとするインターネット小売業者は、日本でのクジラ関連商品の販売を禁止したAmazon.comやGoogleの例に従い、自らが扱う商品が野生の希少動物であることを考慮し、その持続可能性と妥当性に関してしっかりと責任を持つ必要があります」と指摘しました。
クリス·バトラー·ストラウド、WDCの最高経営責任者(CEO)は、 「悲しいことですが、今回の件は驚くことではありません」と、述べました。「 絶滅に瀕する美しいナガスクジラを殺してペットのスナックにするなど、正常の感覚を持つ人間にとっては悪趣味極まりないことですが、Kristjan Loftssonのように利益のためならクジラをあらゆる方法で利用できるような男だからこそ、知的な種であっても、冷酷に生命を軽んずることもできるのでしょう 。」
日本の保護団体、IKANの倉澤七生事務局長は、「アイスランド産鯨肉は、現在、日本の鯨肉市場の約20%を占めていることがIKANの調査で明らかになっていますが、犬用のおやつに使われていることには驚き、憂慮しています」と述べました。「Hvalur HFが市場のかなりの占有率を保持しているのは、日本の調査捕鯨肉と比べて価格が安いためだと思います。今、私たち日本人は、日本のものではない絶滅のおそれのある種を、犬のおやつにしてネット販売することが道徳的に許されるのか、ということを自問しなければならないと思います。 私は、恥ずかしいことだと思います。」と述べました。
みちのくファームは、東京を拠点に活動しています。従来のペットフード製品に加えて、同社は、オーストラリアのカンガルー肉からモンゴル馬の肉に至るまで、「エキゾチック」なペットフードを幅広く提供しています。乾燥させたアイスランドのナガスクジラの肉から作られたドッグフードジャーキー も販売されていることが最近ウェブサイト上で確認されました。
倉澤は、「業者がクジラ肉の犬用おやつを販売する理由として考えられることは、ほかと少し違ったものをステータスと思う富裕層をターゲットにすることだと思います 」と付け加えました。「日本では、フカヒレやフォアグラを使ったペットフードもあるのです。そのようなペットフードを買う行為は、すべてを人間の価値観でとらえ、真の意味で動物のことを考えていないからではないか、と思います」
編集者注:
国際捕鯨委員会(IWC)は1986年に商業捕鯨を禁止しました。主要な商業捕鯨国であるアイスランド はそれに抗議し、1991年にIWCから脱退しましたが、2001年には非難を受けながらもモラトリアム決議に留保を付け、捕鯨禁止の取り決めから除外されるという形で再加盟しました。2003年にいわゆる調査捕鯨を開始、2006年にはモラトリアム決議の留保のもと、商業捕鯨を再開しました。 2006年以来、496頭のミンククジラおよび280頭の絶滅危惧種であるナガスクジラを捕獲しており、2,800トンを超える鯨肉を日本へ輸出してきました。ナガスクジラの捕鯨を行うアイスランドの捕鯨会社Hvalur HF は、2011年と2012年には行わなかったナガスクジラの捕獲を今年6月に再開し、この夏に184頭にもおよぶ数を捕獲すると社長が最近発表しました。ナガスクジラは、国際自然保護連合によって "絶滅危惧種"に分類されています。
みちのくファームは、乾燥させたナガスクジラ肉を60gあたり609円(米国の5.97ドル/£3.89)、200gあたり1680円(US $ 16.49 /£10.74)、500gあたり3780円(米国37.13ドル/£24.18)で 犬用スナックとして数種類のサイズを扱っており、製品の説明にはアイスランド産ナガスクジラと表記してあります。
しかし、人間の消費のための鯨肉販売と同様、日本でのペット用アイスランド産鯨肉市場はふるわないように思われます。例えば、東京にあるペットショップDingoは今年4月中旬に、「特価品」として200グラムのアイスランド産クジラジャーキーの価格を1680円から1470円(米国14.45ドル/₤9.40)へ下げています。また、Play.comを所有する日本の ネット販売大手、楽天のウェブサイトでは、取り扱っている「みちのくファーム」の犬用アイスランド産ナガスクジラ肉の50gと250gのパッケージを割引価格で紹介しています。
前述のウェブサイトのスクリーンショットはご依頼に応じてお送りできます。
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ワシントンD.C.に本社を置くAnimal Welfare Instituteは、1951年に設立され、人によって引き起こされる動物の苦しみに歯止めをかけることに専念しています。 http://www.awionline.org
Environmental Investigation Agency(EIA)は英国と米国を拠点とするNGOで、違法な野生生物取引、違法伐採、有害廃棄物、さらに気候およびオゾンに有害な化学物質の輸出入をはじめとする、幅広い環境犯罪に対して調査を行い 反対運動 を続けています。 http://www.eia-international.org
イルカ&クジラアクションネットワーク(IKAN)は日本のイルカやクジラの保護と 理解を促進するため、1996年に、動物福祉、動物保護、反捕鯨、イルカ保全など、多様な意見の人・団体によって組織されました。http://ika-net.jp/en/
Whale and Dolphin Conservation (旧WDCS)は、クジラやイルカの保全•保護に尽力している世界をリードする慈善団体です。キャンペーン活動、ロビー活動、政府への提言、保全プロジェクト、野外調査および鯨類救助などを通じて、クジラやイルカが直面する多くの脅威に対して取り組み、この並外れた生き物を守ります。目指すビジョンは、すべてのクジラやイルカが安全かつ自由である世界です。 http://www.whales.org