名古屋港水族館新館11月1日オープン

シャチは入らなかったが…

名古屋港水族館新館が11月1日オープンしました。

自慢の水槽では、イルカたちが毎日4回、「パフォーマンス」を行っています。

名古屋港水族館のイルカたちは、和歌山県太地で追込み猟によって捕らえられたもので、和歌山県内の水族館で芸を仕込まれてこの6月に導入されました。

西武ドームをしのぐという大画面で彼らのジャンプや水中での様子、クジラ類の進化などのレクチャーがイルカのパフォーマンスと平行してあります。

しかし、尾でボールをたたいたり、目隠しの吸盤をつけられて水中に投げ込まれた輪を回収するようす、ステージにあがって噴気口にのせられた帽子を一息で吹き飛ばす様子などを見ても、「見せ物」としてはおもしろいと感じる人はいるでしょうが、イルカについての知識のない人がイルカの本来の姿をこれから想像するのは至難のわざだと思いました。せいぜい、ちょっと一般には飼えないペットと勘違いするくらいのものではないのでしょうか?

そういう意味では「イルカのトレーナーになりたい」という子どもたちの願望も、水族館のつくり出した幻想の産物であり、野生動物についての教育の失敗と私たちは考えます。

内田館長はシャチが手に入らなかったことについてあるテレビのインタビューに答えて「スーパーで買うようなわけにはいかない」とコメントしました。

私たちは、野生動物の飼育について、まさに彼のこの言葉のとおりだと思っています。彼はたまたまシャチの捕獲に失敗して、この言葉を発されたわけですが、私たちは、命あるものすべてを気軽に、スーパーから買ってくるように導入し、また、一時のなぐさみに見物することに反対です。特に複雑な生活形態を持っている動物は、限られた人工的な施設で飼うには適していません。

私たちはこれまでさまざまな科学技術を開発してきました。しかし、そうした技術は必ずしも命あるものにプラスになっていないようです。「戦争」はそれを端的に示していますが、私たちは命あるものを作ることはできない、だからこそ、いかなる命でもおろそかにしてはいけないのです。

名古屋港水族館は、ロシアでの捕獲を断念したわけではなく、来年早々にも捕獲申請をロシア政府に提出するでしょう。私たちはこれにたいして、ぜひこの計画を思いとどまるよう、名古屋港水族館を始め、愛知県、名古屋市にお願いして行くつもりです。また、ロシア政府にたいしても、国の大切な財産というべきシャチの捕獲許可を安易にださないようにと要請していきます。

こうしている間にも、この5日、イルカが1頭、名古屋港水族館の水槽から外に飛び出してしまったという報道が中日新聞に掲載されました。世界最大級であっても、決して十分ではない証拠ではないでしょうか。

引き続き、みなさんのご協力をお願いします。

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