NGO共同声明 ワシントン条約を遵守し、イワシクジラの流通を停止することを求めます
もし、イワシクジラの器官、組織や遺伝子が全て実験などの調査・研究用途である場合は、ワシントン条約には抵触しません。
しかし、捕獲し、船内でその肉を小分けしてパック詰めにしてから陸揚げし、市場に流通させる現在の方法は商業的な目的に該当すると解釈するほかありません。特に、2012年、2013年の船の改修工事において、従来の大きな塊肉から、販売しやすい小分けパックに加工できるように設備を増強したところに、商業性が強く認められます。
もし、イワシクジラの「海からの持ち込み」がワシントン条約違反であると決議されれば、日本はワシントン条約を遵守する限りにおいて、イワシクジラを捕獲しても、販売用に肉を陸揚げできなくなります。また、「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律」では、調査捕鯨は「我が国が締結した条約その他の国際約束及び確立された国際法規」に基づかねばならないと定めていることから(第3条)、イワシクジラの国内持ち込みは当該国内法にも抵触することとなります。
加えて常設委員会は、条約履行確保のための措置として、他の国が日本とワシントン条約附属書掲載種の国際取引をしないよう勧告を出すことができます。附属書掲載種取引停止勧告が出された場合、イワシクジラを含む、商業取引が禁止されている附属書I掲載種だけにとどまらず、附属書掲載種の全ての取引に及ぶ可能性もあります(現在附属書Ⅰには約1,000種、附属書Ⅱには約34,600種が掲載されており、例えば野生のラン科の全種はいずれかの附属書に掲載されています)。国際条約を遵守するために、日本は条約の確実な履行に向けて協調する方法を検討する必要があります。
よって私たちは以下のことを日本政府に要望します。
イワシクジラの「海からの持ち込み」がワシントン条約違反の嫌疑で調査されることを真摯に受け止め、
- ワシントン条約調査団の調査に全面的に協力すること。
- 常設委員会で最終決定が行われるまでは、その「海からの持ち込み」を必然的に伴う調査捕鯨を中断すること。
- 常設委員会で最終決定が行われるまでは、イワシクジラの 「海からの持ち込み」 の将来見込みにもとづいた継続的な鯨肉の供給(学校給食用や将来の販売促進用の供給を含む)を中断すること。
<賛同団体>
公益財団法人日本自然保護協会
公益財団法人日本野鳥の会
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
国連生物多様性の10年市民ネットワーク
ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)
生命の輪
認定NPO法人アニマルライツセンター
認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金
認定NPO法人野生生物保全論研究会
バイオダイバーシティ・インフォーメーション・ボックス
PEACE 命の搾取ではなく尊厳を
Voice for Zoo Animals Japan